特別短編「ミウラ屋7」(ふーら)」
秘密結社 路地裏珈琲
特別短編「ミウラ屋7」(ふーら)」
- 39
- 13
- 0
「ミウラさんは、お面がトレードマークなんだそうです」
なんでも、厨二病を拗らせたせいか、異国情緒に魅入られて東洋の文化フリークになってしまったせいか、詳しくは諸説あり過ぎて謎のままであるが、彼は常時10枚以上のお面を持ち歩いて顔を隠しているのだそうだ。いわゆる、京劇の類、変面に憧れているようであるが、この調子なら独自の路線を突き進んでいる可能性が高いので、余計な言葉は飲み込んだ。
全くもって、路地裏の住人達は奇妙キテレツな輩が多い...。
「私、素顔は分かりませんのでお伝えできないのですが......まあ、お面の方はミウラさんぐらいでしょうから」
ちょっとだけ、会ってみたい。そんな怖いもの見たさも沸いたのだけれど、離脱のタイミングをここで逃したら、なんだか良からんことになりそうな予感がする。もはや悪寒にも近い。
必ず、キャットフードを買ったら、帰りにおすすめのバゲットをお土産に帰ってくるのでと、彼女もまた足早に飛空艇から出て行った。そして、外で手を合わせ、全力で頭を下げる。
「ごめんなさい、ご武運を!!!」
ミウラ、おまえは一体いつ現れるんだ。
新しい“あっ”と共に、また緊迫した静けさが訪れた。
----next----
Comment
No Comments Yet.