特別短編「ミウラ屋1」(姐さん)
秘密結社 路地裏珈琲
特別短編「ミウラ屋1」(姐さん)
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「ミウラって運び屋さんが来るんだけどね、私ちょっと今日街で美容室の予約入れちゃってるのよ...留守番代わって貰っていい?もちろん、お礼のお土産付き!」
姐さんは必死で断片的な記憶を辿りながら、それらしく人物像を繋げて喋る喋る喋る......最後にとっておきで残しておいたこれだけは、確かだったはずだ。自信を持って言い切れば、きっと怪しまれる事なく納得して留守を引き継いでくれるだろう。
「ミウラさんはね、私達と似た者同士、裏社会に足突っ込んで生きてるタイプの人だから、きっと雰囲気ですぐ分かるわ!」
恐る恐る聞き返した時、サトウが言っていた。
“秘密結社名乗るような僕らと懇意にするような輩だよ?運び屋っていったって、お察しでしょ。彼は、まぁ義賊寄りで路地裏系の人間ってとこかなぁ“
あと、金属バットがどうだとか、公用車がパンダのマークだとか何だかんだ言っていたような記憶もあるけれど、必要以上に喋ってお互いの首を締め合うのは無駄というものだ。
言いくるめる事に成功した安堵感と罪悪感で引きつる笑顔。今日はとびっきりおいしいフルーツでも買って帰ってこようと、姐さんは足早に飛空艇から飛び出したのだった。
さて、負の連鎖は止まらない。
”...しまった、聞いてなかった“の呟きを合図に、事件は続く。
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