ギュッと
カルティフィラム&ローズ
ギュッと
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ストロベリー、ブルーベリー、ラズベリー。
まるで宝石のようにつやつやと輝くフルーツと
その宝石を包み込むような純白のクリーム。
ふわふわとしたスポンジを口の中へ運ぶと、
甘ずっぱい幸せの味が広がる。
「えへへ〜…美味しい!」
「…ぐっ、どうしてこんなに可愛いんだ、
罪深いほどの可愛さ………」
「?カル、どうしたの?」
「…はっ!また自分の世界に!
ご、ごめんごめん!!
ちゃんとローズの話はきいてるからね!!!」
久しぶりの天気に恵まれた休日。
新しくできたカフェにやって来た二人を
暖かな陽射しがぽかぽかと照らしていた。
窓から見える街を行き交う人々も
春の訪れを予感させる陽気に
足取りが心なしか弾んでいるようにも見える。
「あっ、それとも折角だから贅沢して、
もう1つケーキ頼んじゃおっか…!!
ほら、このショートケーキとか美味しそう!」
「わあっ!ほんと!?
ローズもこのショートケーキ、
美味しそうだなぁ~って思ってたんだ!
でも……カルはケーキ食べないの?」
「ローズ…!!!
さすがわたしの姫様…とっても優しいね…!
でも大丈夫…というか、ケーキを食べてる
ローズの笑顔を見てるだけで、もう幸せで…!
お腹いっぱいというか…!!!」
そうなの?と首を傾げたローズは
しばらく考え込んだ後、
何かに気付いたように目を輝かせた。
「じゃあ、カルに一口食べさせてあげるね!
一口だったら食べられるよね!」
名案!とばかりに満面の笑みを
浮かべるローズに対して、
カルティフィラムは機械のようにぎこちなく
飲んでいた紅茶のカップをソーサーに置いた。
動揺で震える手のせいで
少し紅茶は溢れてしまったが。
「ろ、ローズが食べさせてくれるって…」
「えっと、あ~んってするんだよ?やだ?」
「ううん!?全然……!?むしろ大歓迎…!!!
で、でも、どうしよう……!
幸せすぎてわたしの心パンクしないかな?
大丈夫かな!?心を強く持て、わたし…!」
贅沢な悩みに頭を抱えるカルティフィラムの
桃色の髪が優しい風に揺れる。
幸せを形にしたような、ふわふわの
ショートケーキが運ばれるまであと少し──
#EQCENTRIEQUE #カルティフィラム #ローズ
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ギュッと君の手を
掴んで走り出して
小さなこの痛みを離さない
ギュッと繋いだ手を
早足で歩く 君にはもう
ブレーキかけたままじゃ
届かないから
永遠探す当てのない旅より
数メートル先の
君の隣まで
ギュッと君の手を
掴んで走り出して
慌てた君の笑顔
可笑しくって 切なくって
つんと涙目で それでも前を向いて
小さなこの痛みを離さない
ギュッと 繋いだ手を
【2/11 追記】
10拍手 誠にありがとうございます。
カルティフィラムとローズの幸せの物語を
引き続きお楽しみにお待ち下さい。
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