雨だれの歌
リリー&サフラン
雨だれの歌
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「わ、リリー!雨だよ、雨!」
「えっ?雨?わっ、大変!
荷物がびしょ濡れになっちゃうよ!」
鼻先にぽつりと雫が落ちた、と思う間もなく
突然襲ったスコール。
2人は慌てて手頃な岩影に飛び込んだ。
「はぁ…丁度いい感じの岩穴があって良かった。
今日はここで一晩キャンプかな」
「わぁ、すごい雨だねぇ」
岩に黒く切り取られた外の世界は
雨の水飛沫で白く煙り、
ざぁざぁという音だけが響いている。
「本当だね。いつ止むかな…。
こんなすごい雨にあったの初めてかも」
「あたいも!
こんな洞窟で雨宿りするのも初めて!」
「ふふふ、私もだな。
サフランと旅してると初めてのことばかりだ」
そして、二人は雨音を聞きながら
テントをたて、寝床を拵え、灯りを灯す。
夕飯は薄いパンにランプで炙った干肉、
そして温めた缶詰めの豆のスープ。
雨で体の冷えた二人には充分なご馳走だった。
「一時はどうなるかと思ったけど…
晩ご飯を食べたら、人心地ついたね」
「うん、スープ美味しかったねぇ!」
「あはは!そうそう、美味しかったね」
テントの中で毛布に包まりながら
嬉しそうにスープの話をするサフランに、
テントに写る影が楽しげに揺れた。
「今日みたいに大変なこともあるだろうけど…
きっとこれからの旅もサフランとなら
楽しいんだろうなぁって思うよ」
「…!うん、あたいもそう思う!」
サフランは毛布を勢いよく跳ねあげると
リリーに抱き付いた。
「これからの旅、考えてわくわくしてきた!
リリー!一緒に歌って踊ろうよ!」
「えぇ!?ここで?私、歌はいいけど踊りは…」
「大丈夫!大丈夫!
体が動きたがるように動けばいいのさ!」
「あっはは!もぉサフランっ!
また食器をひっくり返しちゃうってば!」
笑い声が響き、気付けば雨音は遠く。
朝になって雨が上がれば砂漠には虹がかかり、
──サフランの花の絨毯が咲き乱れるだろう。
#EQCENTRIEQUE #リリー #サフラン
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今世界が動き出した
あらゆる音楽と共に
ふと気が付けばいつまでも
そう繰り返す様に
降り出した雨の音は(音は)
ずっと遠くまで響いた(響いた)
終わる事ない 路の果てまで
そう届いているはず
どこまでも歩いてく
君と手を繋ぎながら
いつかたどり着いたその時は
共に笑えるように
また今日も眠れぬ夜に
雨だれの音を数え
きっと同じ夜空を見上げ
心繋ぐように
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