有翼の占師 ウル
融合P
有翼の占師 ウル
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蛍石の原石、蝋燭の火…店の中は不思議な模様の布が何枚もあしらわれていて、テントの中にいるかのようだ。常に香が焚かれ、どんな時間に訪れても、この店の時間はいつも真夜中であるかのような錯覚に陥る。
「ニフ、君って本当にいつも騒がしくて、明るくて…僕は嫌いじゃないよ」
目を細めてどこまでも穏やかに微笑む細身の男。雪のように真っ白な長髪をさらりと揺らして頭を傾けた。
「でも、5歩先で転ぶから気をつけてね…」
「へ?え?…ああ!!!」
ズデンッッ!!!
突如靴紐が解け、ニフは漫画に見るような見事な転び方をした。男の言う通り、ちょうど5歩。
「痛たたた…ううぅ…分かってたならもう少し早く言ってくださいよ…ウルさん!」
「仕方ないよ、突然今見えてしまったからね。霊視なんてそんなものさ。運命を変えられる力があったら、僕は神様になってしまうよ」
ニフの不満を受けても、穏やかな笑顔は崩れる事はない。
ウル。梟の獣人。暗い店にボゥと浮かぶような純白の髪と、白に黒の鱗模様の羽。いつも穏やかな笑顔をたたえるが、見開くとまるで満月の様な黄色く輝く瞳をもっている。鋭い感の持ち主で、キリエで占い師として生計を立てている。自らの事をあまり語らず、店からあまり出たがらない性分も合間り、実は名のある高僧であるとか、実は魔族が変身した姿といった噂も流れている、謎の多い人物である。
「ふふふ、今日は素敵な事があるって気がしてたんだ…ニフ、ありがとう」
「え?私は何もしてないですよ?」
「…だって、住民帳、僕のところには取りに来てくれなかったろう?僕はずっと早く来て…って心の中で呼んだよ?」
「…うっ!仕事に抜けがあった事は本当に申し訳ないですが…気づいていたなら出張所まで来てくださいよ!」
「それはダメだよ…君が取りに来るから、意味があるんだ…」
ニフは何を言ってるのかさっぱりと言った表情。ウルは少し神妙な面持ちになり
「これで僕の運命が変化するんだ。君が書類を取りに来る。それがきっと鍵…」
書類を書きながら静かに語るウル。最早彼の言葉はニフにはちんぷんかんぷんだが、深く突っ込むのはやめておく事にした。
「ウルさん。獣人の男性で…職業は占い師。うん、うん…はい!記入漏れもありません。ありがとうございます!
ウルさんの憑神は…フォルテゥナですね。風の魔法と弱化の魔法が使えます。」
「ありがとうニフ。おつかれ様。これからもよろしくね」
「はい!改めてよろしくお願いします!」
「後、歩く時は前を向いて…」
ドンッッ!!
ウルの挨拶に振り向いたまま歩いていたニフは見事に扉に衝突した。
「あはは、それは霊視出来なかったなぁ。でもそれ以前の問題だね。怪我しないように気をつけて帰ってね」
ニフは何も言い返せず、顔を真っ赤にして帰っていった。
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ウル 獣人(梟) 男性
占い師
フォルテゥナのツキカミ
データを保管致しました。ようこそ!キリエの商店街へ…
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