スイーツ・ラボより愛を込めて【アキネ】
くー
スイーツ・ラボより愛を込めて【アキネ】
- 18
- 0
- 0
「やぁやぁ!!待ってたよ!ようこそ僕のラボへ!!君が僕の作品と共演する天使かい?」
大きく両手を広げて例のパティシエが現れた。
ハロウィンの一件で、自分の作った焼き菓子を美味しそうに食べる街の人々の顔を見た彼は、今ではすっかり自信を取り戻し、ラボも営業を再開した。営業再開の噂を聞きつけたあるカップルが、是非結婚式のケーキを作って欲しいと依頼してきたそうだ。
「で?なんでそれに手伝いが必要なわけ?」
出張所に呼び出されたアキネが首を傾げて聞く。
「パティシエの要望なんです…美しい真っ白のケーキには天使の歌声こそ相応しい!…んだそうで…」
ニフは気まずそうに答える。
「で?なんでそれが私なわけ?」
「…どうしても理事会の会議に参加しなきゃいけなくて…かと言って、ご結婚なさるお二人の家はキリエの重鎮でして、断ることも出来ず…アキネさんにお願いできたらなぁと…」
祭りが終わったのに、やつれた表情で弱々しく答えるニフ。はぁーと大きく溜息をつき、アキネがこの仕事を引き受けたのは今から1時間前の話である。
手を広げ満面の笑みで歓迎を表現したパティシエが、今回の協力者を見た途端、態度を一変させた。
「僕の聖域に野蛮人を呼んだのは誰だい?」
「いつ見てもエルフってスカした態度で、ほんとダッサ!!」
アキネが即座に応戦した。…まずい!そう言えば彼女はダークエルフだ!!ニフは顔を白くした。この種族の仲の悪さはどの世界でも有名である。
「芸術のげの字すら分からないダークエルフが僕の最高傑作と共演なんか出来るはずがない」
鼻で笑うパティシエを見て、アキネは言い放った。
「エルフの芸術がダークエルフに無様に負けるところを見せてあげる!!」
…あぁ…この結婚式…どうなってしまうんだろう。ニフは1人天を仰いだ。
‧✧̣̥̇‧✦‧✧̣̥̇‧✦‧✧̣̥̇‧✦‧✧̣̥̇‧✦‧✧̣̥̇‧✦‧✧̣̥̇‧✦‧✧̣̥̇‧✦‧✧̣̥̇‧✦‧✧̣̥̇‧✦‧✧̣̥̇‧✦‧✧̣̥̇
祝いの場に合う曲を提出してください。
Comment
No Comments Yet.