拳を握るのは(STH部過去編)
笠峰櫂
拳を握るのは(STH部過去編)
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俺は、俗に言う不良少年というやつだろう。自覚はあるし、何度も警察に行っているから認めざるを得ない。俺を悪く言うのは構わない。だが、仲間を悪く言う奴は…
初めて暴力を振るったのは、小学校の三年生の時。友人が「親無し」と言われた時だった。
『玲斗って親無しなんだろ?』『かわいそー』心から心配していたなら良かった。だが、あいつらは馬鹿にしてた。明らかに面白そうに、笑いながら言ってた。それなのに玲斗は何も言わなかった。だから、手が出たんだ。
この時はすぐに先生が止めに入ったから大事にはならなかった。俺がこの時、二人組に勝ったことが全ての始まりだったのかもしれない。
高学年になると、中学生から喧嘩を売られることもあった。相手にしなかった。殴られても殴り返さないし、無言で立ち去った。理由のない暴力は、したくなかった。
それでも校内では相手せざるを得ない状況が多かった。玲斗の親無しも然り、杏奈の男女も然り、莉亜の化け物も然り…。仲間を馬鹿にされては喧嘩になった。
自分から手を出さなかったし、理由が理由のため、親も学校も何も言わなかった。何度もお咎めをもらうことがあったが、その程度だった。
玲斗がいつか言った「僕が親無しなのは本当なんだから、怒らないで」という一言が、気にくわなかった。本当でも、嫌なもんは嫌だろ。莉亜も杏奈も自分でどうにかすると言うが、悪いのは俺だけでじゅうぶんだ。
こんな生活は中学生になっても続いた。
今度は勢力争いがどうとかで、不良のチームに入らないと言うと、別のチームに入られたら困ると殴られ、仲間が増えたが浴びせられる暴力も増えたから喧嘩になる。警察の面倒になることもあったが、親父が「守るための力を罰するのが国のやり方か。」と味方をしてくれた。
だから、親の信頼を裏切らない、正しい力を使いたい。それは、ずっと変わらないだろう。
杏奈が中学に進むとき「うちらの部活を作ろう」と言った。全員、賛成だった。
玲斗には好都合だろうが、莉亜は…美術部に入りたがっていた。もっと絵を学びたいと言っていた。それなのに、なんで俺たちと部活を作ったのかわからなかった。
#アイナナ #アニナナ #yaya伴奏
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