一度だけ(STH部過去編)
明星祐/黒羽暁
一度だけ(STH部過去編)
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祐/暁
暁『小さくもない小学校。何クラスもあるから、知らない子もたくさんいる。でも、目立つ子もいる。』
祐「…バレンタインか。」
暁『何をしたわけでもないけど、なぜか目立つ。』
祐「チョコもらっても…甘いの好きじゃないしどうしよう。」
暁「ねえ」
祐「なに」
暁「名前は?」
祐「…なんで?」
暁「あっそうだよな。俺が知ってても、俺のこと知らないよな。おかしいよな…ごめ」
祐「暁くん、でしょ。サッカーすごい子。」
暁「…知ってるの?」
祐「知ってる。どうしてわたしを知ってるの?」
暁「目立つから」
祐「…え?」
暁「目立つから、知りたい。」
祐「…祐。」
暁「ゆう?可愛い名前だな!よろしく!」
祐「うん。」
暁『今思えば、祐ちゃんとの最初の会話。すっかり忘れてたけど。だからって、とりわけ仲良かったわけでもないし、クラスも一緒にならなかった。だから、忘れたんだ。小学生時代はあれから会話してない。』
─────────────
祐『初めて、義務じゃなくて話したのは、あいつだろう。クラスの片隅、校舎裏、とにかく目立たないようにしていたあたしに「目立つ」と言ったあのときだろう。』
暁「おいっ!飛ばしすぎだろ!」
校舎裏に向かう途中、校庭からあいつの声が聞こえた。ふと先を見ると、ボールが落ちていた。それを拾い上げると、校庭の入り口に向かった。
暁「あ、拾ってくれたのか?サンキュー。」
こちらに向かっていた暁にボールを渡した。三年ぶりに正面で見た暁は、ちゃんとあのときと変わってなかった。
祐「じゃあね、暁。」
そう言って校舎裏に向かった。あたしは、わたしじゃないんだ。あいつの顔見たら、思い出しちゃう。だからあたしは、校舎裏で歌った。
#童子 #BENI #にゃちょこ #もう一度
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