2人声劇「よびごえにつたう」
オニゴ:「」ヒミル:「」
2人声劇「よびごえにつたう」
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さかなは常に飢えているもの。
好むのは、死と甘い匂いです。
——けれども君を、やるものか。
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オニゴ「おろ、珍しい客だな」
ヒミル「……オニゴ」
オニゴ「村の姫君が弔い場なんぞにいていいのか」
ヒミル「どうしてそんな平気な顔ができるの、あんたは」
オニゴ「平気だからなあ(小さく笑う)……あー、もてなす用意ができてないんだが」
ヒミル「どうってことない。大事なことがある、聞いて」
オニゴ「なんだ、随分と切羽詰まってるな」
ヒミル「(切羽詰まってるな、に被せる)大人たちがあんたを、餌にしようとしてる」
オニゴ「…………そうか」
ヒミル「さかなの入りが少ない、餌がないからだ、増やせば良いって。そんな詭弁をよくもいけしゃあしゃあと!毎年この時期は不漁だってのに」
オニゴ「ヒミル」
ヒミル「馬鹿どもはその詭弁を信じた。じき、ここにくる」
オニゴ「案外正しいんじゃないか?さかなが満足すれば取れ高も増えるだろう」
ヒミル「本当にそうなると思ってるの?」
オニゴ「……ああ。番の役目はな、さかなに餌をやることだから」
ヒミル「あんな化け物を育てて何になるの」
オニゴ「今までそうだった。これからもそうだ」
ヒミル「ならこんな場所は捨ててしまえ」
オニゴ「……ヒミル。俺の役目は、番だ。番が、逃げるわけにはいかない」
ヒミル「嫌だよ。貴方を失いたくない」
オニゴ「……お前」
ヒミル「全て捨てて。(間を置く)2人で、逃げましょう」
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弔い場//水の広がるうみに併設された場所。さかながうみに住んでいる。人の死体を投げ込んでは彼らの餌にする。代わりに、彼らは生きた人間の食事となる。この集落に古くから根付く文化。番と呼ばれるものが機嫌を損ねないためにそれを管理している。彼の肉は生きていても餌になる。どうもさかなは、においに敏感なようである。
オニゴ//性別不問。番。甘い匂いを体からさせている。嗅いだ人間を惑わせてやまないのは、沈むことを唆られる深海と似ている。かつてヒミルとは仲が良かった。
ヒミル//性別不問。姫君。「餌」を祝福し、見送り、さかなを食べられるようにする。においがまったくしないので集落のものから好意を集めるが、本人はオニゴに惹かれている。
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