§幻想舞踏会§ 第六話~七色の宝石と拠点の島~
§幻想舞踏会§
§幻想舞踏会§ 第六話~七色の宝石と拠点の島~
- 141
- 16
- 0
§幻想舞踏会§
第六話~七色の宝石と拠点の島~
眩しい光が瞼の向こうで消えた気がして、ゆっくりと目を開くと
そこは見たこともない場所だった。
ひんやりとした少し強めの風が心地よく流れ、芝生のような地面は青い臭いが栄養価の高い土であることを語っていた。
自身の専攻している『自然魔法化学科』の知識が、素晴らしい地質と環境であることを瞬時に判断して、すぐさましゃがみこみ地面へ触れる。
『すごい…。』
「あははボブ、君はやっぱり趣味趣向が偏り過ぎだよ。視野がせまいなぁ。」
そうまの笑い声に顔をあげると、他の4人も唖然と周囲を見ていた。
4人の視線を追うように、周囲を見渡すと、土以上に気づかなければいけない事があることを再確認した。
ずっと続くはずの大地は数百メートル先で、途切れている。
ぐるりと見回すと大地は途中で無くなり、その先には青い空が広がっていた。
空の上には今まで見た中で一番大きく感じるであろう件の宝石が太陽の光を浴びながら輝き、浮遊していた。
さらに半身回転させると、そこにはレンガ造りの建物がドッシリと構えていた。
新しい場所なのに関わらず、懐かしさの感じるようなその感覚に戸惑いながらも、頭を回転させて答えを探し出す。
『もしかしてここ…。』
「そう、僕たちはやってきたんだよ。あの天空の島々に。」
そう、ここはあの島のひとつだったのだ。
「おい、これはいったい…。というか隊士って何のことだ…?」
愛次がそうまに驚きつつも尋ねる。
「青風八咫烏隊だよ。これから僕たちは国の為に戦うんだ。」
「先輩!?そんなの聞いてないですよ!?」
「あはは、だってまだ説明してないもん。
でもハンペン君は<どこへでもついていく>って言ってくれたもんね?」
「………。ソノトオリデス。」
「そんなことはどうでもいいのよ!つまり観察対象は各国の魔力の強い人達を見れるんでしょう!?
つまり私の目の保養!!なんて素晴らしいの!?
そうま!勝つことが条件と言ったわね?
まかせなさい!そのかわりデータをとりまくるわ!」
「うーん、とりあえずマカロン食べきっちゃった…。」
各々が騒ぐ中、七色の宝石がキラリと光ると空に文字が映し出された。
全員が空を見上げる。
【 青風八咫烏隊 6名を
青ノ国の選ばれし六名とし
わが島へ招き入れん。
この島は 汝らの拠点
自由に過ごすことを認める。
橋の先は全部隊共有の中央広場
以下の規則を守るべし。
一、此の島と共有の広場以外の立ち入りを禁止する。
二、非公式の試合は禁止するものとする。
三、中央広場の最北端は、五部隊の隊長のみ立ち入りを許可する。
四、以上と今後この様に空へと描く指示は厳守すること。
まず初めに、
招かれた五部隊の隊長は
最北端、一般隊士立ち入り禁止の
隊長会合室へ集合されたし 】
「…あの宝石はプロジェクターの様になんでも空へ映し出せるのかしら、なかなか興味深いわね…!」
「玲華…原理より文章の内容読んでくれ。君が一番、他隊の拠点である島へ不法侵入しそうだ…。」
愛次が冷静に雪季を制する。
『つまり、試合以外は基本的にこの島とその中央広場とやらが、自由にすごせる場というわけか…。』
「先輩!そんなことより!ちゃんと説明してくださぁい!」
ハンペンがそうまに泣きつく。
「そうだ、ちゃんと教えてくれないと困るぞ!」
愛次もそれに続き、
「そうまくん!ここって甘いものはあるかな!?」
さきはマイペースに自分の欲をぶつけ、
そうまはニコニコ笑うと手をヒラヒラとさせた。
「いや~、説明したいんだけどホラ。
僕会合室へ来いって書かれてるし、
指示は厳守って書かれてるから行かなくちゃ!
あ、説明はボブがしてくれるよ☆」
『…なっ!?』
突然の丸投げに、言葉がつまってしまった。
近づいてきたと思うと、肩を軽くたたかれる。
「エスプレッソ分、これでチャラにして?」
満面の笑みでそう言うと、速足でそうまは橋の方へと行ってしまった。
『…。してやられたな…。』
この後、後ろから飛びかからんとばかりに質問攻めしてくる4人に理解・納得してもらうまで、
何度も説明するハメになってしまった。
Comment
No Comments Yet.