一人声劇*吸血鬼と小話。
朗読者()
一人声劇*吸血鬼と小話。
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#朗読台本 #朗読声劇 #一人声劇 #台本 #ハロウィーン
以下台詞。アレンジご自由に。
10月31日。ハロウィーン。
子どもも大人も馬鹿みたいにはしゃぎ、仮装して、盛り上がるお祭みたいなこの日は、お菓子みたいに甘ったるくて、私には胃もたれしてしまう。
ふと、窓から公園を眺めた。
子どもたちが仮装をしている中で、離れた木の下で一人だけ三角座りをしていた少年がいた。
木陰で膝を抱えて、顔をうずめてはいたが、少年の紅く鋭い目ははっきりと見えた。
その目に惹かれたのか、私は家を飛び出し、その少年の隣に座った。
少年は言った。
「……お菓子をくれなきゃ、イタズラする」
「そんな、ガキみたいなこと、本物なら言わない」
「本物の気持ちなんて知らない人間が、馬鹿みたいに騒ぎやがって」
その目は酷く虚ろに見えた。
「ねえ、一緒にお菓子、貰いにいく?」
少年はチラッと私の方を向いた。
「今日くらいは、ね?」
そのまま私は少年の手を取って、人ごみの中にかけて行った。
少年は私の手をぎゅっと握りしめた。
これは私と弱くて脆い吸血鬼の、小話である。
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10月31日が近いので、ちょっとそれに寄せた台本を書きました。
読んで下さる時は、拍手orコメント頂けると嬉しいです。
映画予告風(二人声劇)↓
https://nana-music.com/sounds/031fb67f/
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