【一人用声劇台本】静寂の森

あなたのお名前

素敵な音に惹かれて。 ご自由にどうぞ。 ※※※※※ 街外れの森の中の、今では石造りの柱しか残っていない神殿。 毎日そこへ訪れては、たった一つ、そこにたたずむ石像に話しかける身寄りのない少女。 悲しげな瞳に苦しげな表情で天へ手を伸ばす、青年の「石像」。 そんな「彼」に、今日も彼女は話しかける。 涙が出そうなほどの、懐かしさと切なさを胸に抱きながら―― ↓以下、台詞 こんにちは。 今日も良い日ね。優しい雨はお嫌いかしら？ 見て、今日はサンドイッチとホットココアにしたの。少しばかり冷えるから、温かいものがいいわよね。 ……ごめんなさい。あなたの好きなものなんて、私、なにも知らないのに……分かるはずも、ないのに。 ねぇ、笑ってくれていいのよ。私が、街でなんて言われてるか。きっと風に乗って、ここまで届いているでしょう？ 「 ” 石像 ” に話しかけてるイカレ女」ですって。ふふ……その通り過ぎて、笑っちゃうわ。 ……だって、だってね、どうしてか、分からないけれど。 ほうっておけないの。あなたのことよ。 何が、そんなに悲しいの？ 何を、求めているの？ 人々があなたを忘れてしまったことが、とても罪深いことに思えてならないの…… だから……私だけでも覚えておきたいって、そう思うのよ……