【オリジナルBL】籠の中【台本】
演じ手様【】
【オリジナルBL】籠の中【台本】
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【ご注意ください。ほんのりであってもBL(ボーイズラブ)です。】
※あらすじ※
これは歴史あるどこかの名家が舞台。
とある従者とその主人が両片想いになる前のその前の話。
そう、出逢いのお話……。
✳✳✳✳✳✳✳本 編✳✳✳✳✳✳✳✳✳
18歳の時、名家のご子息様をお世話することになった。
「坊ちゃん。初めまして、私は執事の 九月(くげつ) と申します」
私(わたくし)は従者の家系で生まれ。
幼少期から名家の執事長を務める祖父に『オマエも大きくなったら…』と口癖のように聞かされ育った。
つまり極当たり前のことだった。
誰かに仕え、身の回りのお世話をしつつ自身を磨く。という思想。
この名家で働く従者たちは皆、本名を名乗らないし、呼ばない。
男の従者が一月(いちづき)や三月(みつき)なら。
女の従者が睦月や弥生といった仮の職場名を名乗るし、呼び合う。
しかも私の家系がお仕えしている名家は本宅と別宅が存在し。
学業を学ぶ間に別宅の侍女長である叔母の下で見聞きして、仕事のイロハを習った。
ついに高卒の18歳の秋。
旦那様と面談し、挨拶をした。
「旦那様。改めて、ご挨拶申し上げます。」
礼儀作法。習ったとおりに挨拶の言葉を口にした。
旦那様も笑って、今の私と幼少期の私を比べる世間話をなさった。
そろそろ面談も終わる頃。
旦那様から『そうだった。君に紹介しておこう』と言い。
隣室に続く扉へと言葉をかけた。
ゆっくり開いた扉からキラリと輝くブロンドの髪と青い瞳が覗く。
旦那様が手招いて、傍によらせる。
『紹介するよ。わたしの3番目の子だ 。』
『ほら、自分で挨拶をしなさい。』
3番目の子だ。と紹介された西洋の色を濃く纏っている女の子みたいな幼い子。
人見知りなのか、俯いたままボソボソ…と名乗った。
微かに聞こえる声はとても可愛らしい。声変わり前の少年特有の高さや響きだ。
私は腰を屈め。差し障りないように微笑んで、挨拶をする。
礼儀を重んじるばかりに型にはまったような挨拶だとは思っていた。
水底にも似た濃い青の瞳。揺らいで、こちらを見つめてくる。
私は目を瞬いて、どうされました?と問いかける。
「……あなたのはどこ?」
「失礼ながら。何がでしょうか?」
「…空っぽだね…」
ぽろり…と落とされた言葉に私は呆気に取られた。
いいや。コレは図星による思考の停止だった。体内で心の臓が強く跳ねる。
旦那様が焦った様子で幼い子…ご子息様を注意した。
『やめなさい!いくら相手が従者とてそんな事を言うんじゃない!』
『…すまない九月。この子は人付き合いが苦手でね。時々、突拍子もないことを言ってしまうんだ。』
「いえ、旦那様。お気になさらず」
図星を見抜かれないように旦那様に微笑みかける。
その日の面談は旦那様や私の立ち振る舞いによって、終わりを告げ。
私も午後の職務へと戻った。
ご子息様に云われた言葉が胸の奥に陰を射しながら。
そうして、旦那様の推薦によりご子息様のお世話係を任されるのは…
この日から半年たった晩春のこと。
✳✳✳✳✳✳続く…かも。✳✳✳✳✳✳✳✳
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