【声劇】桃太郎〜序章
cv.◯◯ BGM/雪 台本/襖猫
【声劇】桃太郎〜序章
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雪さんのBGMを
お借りしました。
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昔々あるところに、
お爺さんとお婆さんが住んでいました。
なぜこの老夫婦は、
人里離れた山奥に住んで居たのでしょう?
何か人里で暮らす事の出来ない理由が
あったのでしょうか?
考えられる事は一つ、
彼らは罪人だったのです。
いつしか山奥に隠れ住み、質素な生活を始める二人。
そんな時です。
例の桃に出会ったのは。
異常なサイズ、その温度はどこか生暖かく、
耳を当てると、時折聞こえてくるかすかな鼓動。
明らかな異物。
底知れぬ不安に戸惑いながらも、
隠すように家の中へ運ぶお婆さん。
お婆さんは奇妙な桃のような物体に恐怖し、
震えるばかりでした。
切ってしまおう。
考えていてもラチがあかない。
お爺さんはそう切り出しました。
深呼吸で気持ちを整え、
ゆっくりと包丁を果実に食い込ませる。
ジワリ…と溢れだした生暖かい果汁が
お爺さんの指を伝い、畳に染み込んでゆく。
尚も右腕に力を込めると中に空間がある事がわかる。
刹那、亀裂から現れる「何か」
…これは、人間の腕だ。
赤子が亀裂から外に向かって腕を伸ばしている。
半狂乱になり泣き叫ぶお婆さん。
お爺さんは桃の中で蠢く「何か」を
ただ呆然と見つめる事しか出来なかった…。
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