[朗読台本]察する瞬間
読み手様 :×泊楽天
[朗読台本]察する瞬間
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どっちにしようか。
冷えたコーラを片手に、困ったような顔をして投げかけてきた。
そんなこと、聞く時点で答えは出てるんでしょ。
本当に選びたいのは、自分か私か、
どっちがその選択の結果を口にするかなんじゃないの。
皮肉たっぷりにそう言ってやりたい気持ちをぐっと堪え、紅茶のカップを手に取る。
そういえばこんなこと前にもあったなぁ。
あの時も答えの分かり切った選択肢があって、
話を切り出したのは君の方だった。
それなら今度は...順当に行けば、私が切り出す番なのかな。
でも今回に比べれば、あの時はずいぶん気が楽だっただろう。
「付き合おう」って、言うだけだったんだから。
こんなことばかり、妙に冷めた頭で理屈をこねてみたりして。
でも、察してしまったからには選ぶしかないんだよね。
少し乱暴に置かれたカップが、ソーサーに受け止めてもらえなかった不平を唱えるかのようにガチャンッ、と鳴った。
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誰にだってきっとある、目の前の相手が「今こういうことが言いたいんだろうなぁ」って察する瞬間。
それが果たして、察したかったことなのか、それとも......
そんなお話。
#朗読 #台本 #声劇 #泊楽天
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