まりゅ
--------------虚空教。
それはこの世の原初である虚空に想いを馳せ、欲の決して無い、強き人間になるための教えです。
まず虚空とは何か? 虚空とは、全ての始まり。万物に平等に存在する〝0〟というボーダーライン。つまり虚空とは〝無〟を指します。
人間が赤ん坊として産まれ、物心がつき、意識を獲得するまで、我々の魂はどこにあったのでしょうか? 宇宙がビッグバンにより誕生するまで、この世は何で満ちていたのでしょうか? そう、虚空なのです。
情報や物で飽和する現代。その圧倒的な情報量に押し潰され、自分の立ち位置が分からなくなってしまった結果、心を病める者、傷つく者のなんと多いことでしょうか!
しかし、原初に思いを馳せてください。人間は生きるために狩りをし、飯を食らい、寝る。それだけだったはずです。心を病むまでもなく、生きるか死ぬか漠然としたそれだけの世界。シンプルで、強き者の時代。しかし、それは今も変わっていません。溢れてしまった情報量に惑わされないでください。貴方の立ち位置は原初の時代から何も変わらず、ずっと虚空の上にあるのです。
我々人類の最も重き罪、それは忘れることです。自分が今どれだけ恵まれているのか、それを一つずつ忘れる度に、その度に、人間は弱くなっていきます。欲に塗れて無傷で生きられるほど人間の魂は気高くない。高望みによってできた蝋燭の羽根は太陽の熱でジリジリと溶け、やがて、その身を地面に叩きつける。しかし、その場所こそ、叩きつけられた全てを失ったその状態こそ我々の始まり、母なる虚空。
そう、我々は元々持たざる者、何も無き者。もし貴方がこれから悲しむことがあったとしたら、それは全て、貴方が贅沢だからです。高望みをしているからです。ハードルを高く据えているからです。
どうか忘れないでください、我々の立ち位置を。我々には失うものなど無いのです。何故ならば、元々何も持っていなかったのだから。
もし貴方が弱くなりそうになった時、母なる虚空を思い出してください。虚空が貴方に力をくれるはずです。