命に嫌われている。ピアノとドラム伴奏

カンザキイオリ

「一等星スピカの星空散歩。」 モニターから聞こえる女性の声はよくボイスチェンジャーを使っていると言われることもあるが、どの声もボイスチェンジャーなど使わない自分の声だ。 ──今日はスピカちゃんだぁ！── 女性声で話すときはスピカちゃんと呼ばれるようになって、どれくらいが経っただろうか。 ハッキング技術を活かして公開処刑配信をするようになってから、盲信的なファンが増えた気がする。 でもそんな私も、たまには息抜きがしたくなることもあって… 「みんな、お元気かしら？今日は久しぶりに歌枠でもしようかと思ってるんだけど、何かリクエストはある？」 柔らかい声のまま、だが普段と変わらない喋り口調でモニターの向こうへと語りかける。 普段がこの口調だから、女性声で配信した方が楽に感じる。 ──命に嫌われている── いくつもコメントが流れていく中で、目に付いたもの。 なぜ目に止まったのかは自分でも分からない。 ただなんだか自分のことを言われたのかと思った。 「そうねぇ、じゃあ今日はこの曲からスタートしましょうか。」 コメントに視線を向けたままキーボードを叩いて歌詞を表示させる。 「久しぶりの歌枠だから、上手く歌えなくても許してね？」 準備していたミネラルウォーターで喉を潤し軽く咳払いをして、リスナーからは見えていないというのにニコリと微笑んだ。 「それでは、カンザキイオリ様の【命に嫌われている】…」 …………………………………………………… 「死にたいなんて言うなよ。 諦めないで生きろよ。」 そんな歌が正しいなんて馬鹿げてるよな。 実際自分は死んでもよくて周りが死んだら悲しくて 「それが嫌だから」っていうエゴなんです。 他人が生きてもどうでもよくて 誰かを嫌うこともファッションで それでも「平和に生きよう」 なんて素敵なことでしょう。 画面の先では誰かが死んで それを嘆いて誰かが歌って それに感化された少年が ナイフを持って走った。 僕らは命に嫌われている。 価値観もエゴも押し付けていつも誰かを殺したい歌を 簡単に電波で流した。 僕らは命に嫌われている。 軽々しく死にたいだとか 軽々しく命を見てる僕らは命に嫌われている。 ……………………………………… 創作BL×バトル×創作企画 〖全員凶悪犯。〗 ↳ https://nana-music.com/users/10616598 #命に嫌われている #カンザキイオリ #初音ミク #まめ伴奏