🎼 きっと見つけられる 🎹
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🎼 Viva la Orquesta !! 🎹
第一幕『廃墟と五線譜』
地獄街という場所がある。その地には、罪を抱えたまま死んだ人間が突き落とされていく。『彼』もまた、そういう成れ果てのひとりだった。
地獄街北部。北風吹き荒れる寂れた都市リネスタの古城に、彼はいた。ボロボロの布のような服だけを纏い、引き摺られるように歩く姿はまるで奴隷。濁った血色の瞳は、フラフラと危なく揺れていた。
「う、う……?」
足が痛い。その不快感を口に出そうとしたが、もう何十年も言葉を発していなかった声は錆びて掠れ、醜いうめき声が漏れるだけに過ぎなかった。
彼の名前はレクトール。2306年現在から数え、およそ400年ほど前に地獄に落ちた罪人である。余程酷い罪でも冒したのか、地獄へ落ちた時から彼は空っぽで、ほとんどの記憶を喪っていた。中身のない醜悪な容れ物で地獄街中を彷徨うその姿は、まさしく屍人と呼ぶに相応しいのかもしれない。
彼はこのまま、誰にも許されることなく、自ら終わりをもたらすことも出来ずに、永遠を行かなければならないのだろうか。それが彼に与えられた罰なのだろうか。
─────────────
ある日、レクトールが古城の中を歩いていると、ふと足元に奇妙な違和感を覚えた。擽ったい感覚に耐えかねて下を向くと、そこには本のようなものが落ちていた。しゃがんで拾い上げてみると、どうやらそれは楽譜のようだった。
「ん……? ん?」
楽譜。ひどく懐かしいものを見たような、そんな気がした。突如として内側から何かが湧き上がってくる。不思議な感覚に包まれる。
「がくふ……おと? 音楽……」
どこか遠くから、優しく触れるくらいの、弱いピアノの音色が蘇った。音色は少しずつ、歩みを速めるように、少しずつ強くなっていく。レクトールの双眸が徐々に煌めきを乗せていく。目の前が、開けた。
「僕は、こんなところで何をしているんだ」
はっきりと声が飛び出したのは何年ぶりだろうか。まだしゃがれて不安定ではあるものの、歌のひとつくらいは歌えそうな、確かにそれは人の声だった。
「どうして忘れてしまっていたんだろう。僕は、僕は音楽が好きだった」
確かめるように呟き、手を握り、足を伸ばす。ボロ布を取り払い、古城の中に残されていた埃被った服を身にまとう。割れた鏡台の前で髪を梳かして器用に編んだ。
「行かなければ。僕の中の音楽を取り戻すんだ」
何処へ向かうべきかは分からなかった。けれど、音への執着が彼をここでは無い遥へと駆り立てた。
「音を紡げば、いつか記憶が戻るかもしれない。例えそれが目を背けたくなるような過去だとしても、僕は知りたい。自分が何者だったのか」
呟いて手を深く握りしめる。踵を返して古城をあとにする。
「さて、何処を目指そうか」
『王都!』
伸びをしながら声を上げると、すぐ背後から幼い声が帰ってきた。レクトールが振り返ると、拾った楽譜が紙をふるわせ、まるで蝶のようにパタパタと羽ばたいていた。
「驚いた。君は喋れるのか?」
『うん! 楽譜の悪魔!』
「そうか。君は楽譜の悪魔か。だが、僕にとってはまるで天使だ。僕に音楽を思い出させてくれたのは君だ」
『えー? 役にたった? うれしーい!うれしい!』
楽譜は大きく羽ばたきながら、レクトールの周りをぐるぐると旋回し始めた。
「君に名前はあるのか?」
『おるけすた!』
「オルケスタ……オーケストラか! いい名だなぁ」
『うん! おるけすた、最高!』
楽譜の悪魔改めオルケスタは、レクトールが歩く少し先を、道案内をするかのごとくはためいて行く。
「そうだ。王都を目指す傍ら、オーケストラを作ろう。僕が指揮者となって、出会う先々で仲間を集めるんだ。どうだい?」
『よ〜き〜! れくとーる、指揮者!』
オルケスタが一際大きく羽ばたいた途端、そのページの隙間から黒い指揮棒が零れ落ちた。それはゆっくりとレクトールの方へ向かい、彼の右手にピタリと収まった。
「指揮棒? 僕にくれるのか?」
『うん! れくとーるとオーケストラ作る』
オルケスタはそう言うと、ばさばさと道の先を急いだ。レクトールも負けじと足を早める。歩くだけでジクジクと傷んでいたはずの指先が、今は何故かとても軽い。
「行こう、次の街へ」
レクトールは確かな声で告げると、枯れた土に足跡を残した。
─────˙˚ 𓆩 ✞ 𓆪 ˚˙──────
(🪄面白い話をご所望かい?
それならばひとつ、短い冒険譚を披露しよう。
物語の始まりはとある廃墟。
記憶を亡くした青年が、好きだったものを思い出すところから幕は上がる。)
(📖びーば ら おるけすた。第一幕。れくとーると、オーケストラ作る〜!)
物語は終わり
勇者は眠りにつく
穏やかな日常を
この地に残して
(🦋貴方旅をしているの?まあ珍しい!)
(🗝ついてきて。必要なものを揃えてあげるよ。)
(🕊️こうやって吹くの?小鳥の鳴き声みたい。)
(☁️フローラが行くなら、私も行ってみたい。)
時の流れは無情に
人を忘れさせる
そこに生きた軌跡も
錆び付いていく
(🏵お兄さん、それってハーレム?えっ違うの?)
(🍸ちょうど全てのゲームを遊び尽くしたとこだったの。)
(🌔ここには、来ない方が良いと思いますよ。)
(👓あっ、大変失礼しました!てっきり泥棒かと……。)
それでも君の
言葉も願いも勇気も
今も確かに私の中で
生きている
(⚜️祈りの邪魔をするようなら、こちらも正当防衛といきましょうか。)
(🍪せっかくの縁だ。お手製のクッキーでも食べていかない?)
(🌌王都へ行くこと。僕たちの目的は一致しているね。)
同じ途を選んだ
それだけだったはずなのに
いつの間にかどうして
頬を伝う涙の理由をもっと
(🌅それってめっちゃ運命的!ねえ、大歓迎だよ!一緒に行こう!)
(🍭この街では盗みや魂狩りが横行してるのよ。そんなことも知らないの?)
(🪙あははっ、馬鹿の集団だ。面白くなりそう。)
知りたいんだ
今更だって
共に歩んだ旅路を辿れば
そこに君は居なくとも
きっと見つけられる
(💫もう、そんなこと言っちゃダメでしょ。えーっと、お名前なんだったっけ?)
(🎗うーん、うちに空き部屋いっぱいあるよ。使えば?)
(💍私は無能な歌い手です。王都のサーカスを追い出されたのですから……。)
(🪄僕らの旅は前途多難、だが美しかった!
どうだい?聞きたくなってきただろ?)
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🪄レクトール(cv:日向ひなの)
📖楽譜の悪魔オルケスタ(cv:日向ひなの)
🦋セレナ(cv:しらは)
🗝シェイ(cv:ゆん)
🕊フローラ(cv:RAKKO)
☁️ソフィア(cv:琉伊)
🏵マッチ(cv:ゆうひ)
🍸シンジュ(cv:唄見つきの)
🌔アルマ(cv:水縹ろくろ)
👓アドルフ(cv:くらげ∞)
⚜️カトリーヌ(cv:はいねこ)
🍪マリー(cv:Neumann)
🌌ノクス(cv:ラムネ)
🌅ライム(cv:中条 瑠乃)
🍭リーネ(cv:海咲)
🪙フレイヤ(cv:白水)
💫ラミー(cv:まぁる。)
🎗ベス(cv:蓬)
💍オルタンス(cv:えりざ)
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〖PLAYLIST〗
vol.1
https://nana-music.com/playlists/4117492
vol.2
https://nana-music.com/playlists/4117493
#HEL_L_ETTER #LA_ORQUESTA #勇者 #YOASOBI
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