一人声劇「備忘録」
読み手 ニノマエ太郎/台本 伊織
一人声劇「備忘録」
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前に「やってみよう」と話になったので練習供養です
出来てる?
二十歳(はたち)までには死のうと思ってた。
大人になった自分なんて想像できなかった。
未熟で不安定で、潔癖(けっぺき)なまま。
吸い込まれそうな空の青が、当たり前になってしまう前に
この生(せい)を、終えてしまいたかった。
本のページをめくる。
落ちたスプーンの渇いた音。
風が吹いて、カーテンが揺れた。
あなたはすぐに泣くんだねって言うから
君は強いから泣かないんだと返したら
伏せた君の目の、マツゲがすごく長かったのを覚えてる。
生きるほどに汚れていった。
感じることが少なくなっていった。
君と見た夕暮れも、一人で迎えた朝焼けも。
今はもう、遥か遠くに消えてしまった。
そうか。
いつも僕が先に泣くから、君は泣けなかったんだ。
読み終えた本を閉じた。
近づいた窓辺は思ったよりも温かかった。
僕はまだ、この空の青さに心が動くだろうか。
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2commnets
- 白ずきんアァ
- ぽんやはりいい声よのぉ、BIG LOVE🫶