【朗読声劇】Hitoridachi Eve
台本:七梨 朗読者:酉頭ねこた
【朗読声劇】Hitoridachi Eve
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お借りしました!全然夏ではないですが、海は好きです。
台本主様より引用↓
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台本:
高校3年の、夏の終わり。
明日、僕はこの海沿いの街から旅立つことにした。
それは、反抗期の家出でも無ければ、家族揃っての引越しでもなく。
敢えて"これ"に相応しい名前を付けるならば。……"独り立ち"にしておこう。
独り立ちの支度を始めたのは、早めの夕食を済ませた日暮れ時。
父が以前使っていた仕事道具一式と、必要な分よりも、気持ち多めの日用品。そして……父が僕宛てに遺していった、年季の入った一眼レフ。
これらを順に、群青色の鞄へと詰め込んでいく。
父との懐かしい思い出を、一滴も溢さぬように。ゆっくりと、時間をかけて群青色の鞄へと詰め込んでいく。
長い間、父とたった二人で過ごしてきた、狭いアパートの一室。
今ではすっかり見馴れてしまった窓の向こう側に広がる海岸を、記憶に焼き付けるようにじっと見つめる。 ……ふと思い立ち、僕は再び鞄からカメラを取り出すと、窓の向こうへとレンズを向けた。
高校3年の、夏の終わり。
明日、僕はこの海沿いの街から旅に出る。
見馴れた一室で一人、僕は静かにシャッターを切った。
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