〈第5話〉ゴシップは程々に【前編②】
台本:由季 BGM:『ad-lib piano BGM 架羅色』レーニャ様 SE:効果音ラボ様 イラスト:MΔWΔTΔ様
〈第5話〉ゴシップは程々に【前編②】
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アリスティア「…そうだ。では、香りや味が変わったことにボクが今まで気づかなかったことがあったかい?」
アレン「はいはい、ありませんでした」
アリスティア「そういうことだよ」
シャルロット「でも、あの量はやめた方がいいわ」
アリスティア「糖分を大量に摂取したからと言って、死ぬとは限らないだろう?そういえば、いつもの2人は居ないようだけど」
"死ぬ"という言葉にアレンは僅かに表情を曇らせる
シャルロット「莉乃ちゃんと律くんは向こうでお買い物してるはずよ。ね、アレン?」
アレン「………」
シャルロット「アレン?」
心配そうにアレンを見上げるシャルロット
アレン「…あ、いや。」
アリスティア「……もしかして、あれかい?」
シャルロット「え?」
アレン「!…あいつら」
───
3人が同じ方向を向いた時、そこにはショッピングバッグを両手に持つ律と、その隣を歩きながら、弟を心配そうに見る莉乃がこちらに向かって歩いてきている
シャルロット「あらあら…随分買い込んだようね」
莉乃「……あ!シャルロットさん!アレンさん!アリスティアさんも居る!!」
莉乃は3人の姿を見つけると、ぱあっと表情を明るくさせる
律「莉乃走ったら危ないって…」
今にも駆け出しそうな莉乃に釘を刺す律だったが…
アレン、アリスティア「「!」」
車の走行音が聞こえる。それもかなりの猛スピードだ。
それはつまり、双子に不穏な影が近づいている、ということ。そのことに気づいたのは、アレンとアリスティアだけだった
アレン「……なぁ、あれまずくないか?」
アリスティア「……まずいね。非常に」
シャルロット「え?どういう……」
2人は示し合わせることなく、それぞれの行動に出た。アレンは真っ先に走り出し、アリスティアは鞄から"拳銃"を取り出し、"迷うことなく"車のタイヤを狙って─────撃った
シャルロット「!莉乃ちゃん!」
律「!」
律が片割れの危険に気づいたのは、シャルロットの叫び声、そして拳銃の発砲音だった。
何かが猛スピードで近づいている
律「…あの車っ……莉乃危ない!」
律はそこから動くことができなかった
片割れを失う恐怖
なのに、体がいうことをきかない
ただ、叫ぶことしかできなかった
律「莉乃、逃げて!!」
莉乃が振り向く
莉乃「どうしたの?」
その時──
律「早く!」
───
何が起こっている?
莉乃は混乱していた
心做しか音も聞こえない
律が何かを叫んでいる
莉乃「!!」
振り返るとそこには車があるのに、足が動かない
律「莉乃…!」
シャルロット「!お願い、間に合って……」
アリスティア「……もう1発かな。アレン、後は頼んだよ」
アリスティアは再び引き金を引いた
アレン「…たくっ!どいつもこいつも」
莉乃は死を悟り、強く目を閉じる。
莉乃「…ごめんね、律」
しかし、莉乃を襲ったのは痛みや衝突ではなく、爽やかな柑橘系の香りと浮遊感だった
そして、車のブレーキ音が盛大に響き渡った
───
アレン「…危ねぇな」
間一髪。
車は莉乃の数歩先で止まっていた
前輪と後輪のタイヤはその丸い形が崩されている
莉乃はアレンに抱き抱えられるようにして、後ろに倒れ込んでいた
莉乃「………え?アレン、さん?」
アレン「怪我はないな?」
莉乃「…はい」
アレン「よかった」
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絵師
MΔWΔTΔ様
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