No.9
BGM:hotaru sounds/詩・声:蒼
No.9
- 7
- 1
- 0
作品No.9
夜のはざまに眠るもの。ため息ひとつぶんの孤独、朝をめがけてめぐる秒針。short動画といっしょにスワイプする眠気。眠りたくないのは、朝の陽射しを見たくないから。透明な夜に溺れるように、明日を今日のままにできたらいいのに。そうすれば明日なんてこないのに、と、漠然とした妄想をする。
(ほんとうは終わりへ向かう世界線、円環とうに途絶えたと知る)
耳を塞ぎたくなるもの。金属質な不協和音。黒板に爪をたてる音。「やりがい」とか「目標」とか「当たり前」だとか、知らないうちに押しつけられたもの。星のまたたき。宇宙に音があるなら、と想像する感性を、抱いたままで大人になりたかった。
(大人になるって、「わたし」をひとつずつ殺していくこと)
(他の誰でもないこの「わたし」によって)
やわらかなもの。心臓の奥の奥。うつくしいハープの息継ぎ。「がんばらなくてもいいよ」と囁く、責任の向こう側。くらげに心臓はないんだって。汽水域に漂う半透明。自明の理だけで息をする。シアー素材にひるさがり、午後三時のやわい陽だまり。遠くの喧騒に微睡むときは、決まって生命の源を夢に見る。深いさざめき。
海鳴りは、白じら沈む水の底、波うつ砂のはるか最果て。
#蒼の朗読
Comment
No Comments Yet.