【一人台本】移ろいに、褪せる【声劇台本】
【語り手】苫田【台本】浅漬とまと【BGM】みわたか様
【一人台本】移ろいに、褪せる【声劇台本】
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学くん……
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もう満たされはしない器を
胸の中に大切に抱え、
捨てることすらできないまま
「仕方なかったんだよね。全部」
自分に言い聞かせ、
連なる今日を揺蕩(タユタ)う。
「……もう、すっかり秋空だね」
木枯らしが頬を冷やす頃
一つ、歳を重ねた
「優しい言葉を、たくさんもらったよ」
「私なんて、祝われる資格もないのにね」
時が残酷に変容させていく日々
手放したくないものが、
一つ、また一つと去っていく
「いつまで、続いていくんだと思う?」
こぼれた水は返らない
誰にも知られず、乾いた涙だって、
今更、気づかれはしない
「寂しいのかな?わかんないや」
「だって、知ってるのに?」
「どんなに泣いたって、叫んだって、
あなたには届かないって」
「ねえ」
「何か言ってよ」
「そんな、ずっと笑ってないでさ」
季節は、また変わろうとしている。
冷え切った部屋に佇む私を
いとも簡単に通り越して
また少し色褪せた思い出に、
空の器がひび割れた気がした
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