〈第5話〉雨の日、邂逅【前編①】
台本:由季 BGM:『nocturne』hotaru sounds様 イラスト:MΔWΔTΔ様
〈第5話〉雨の日、邂逅【前編①】
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【CEA】〈第5話〉雨の日、邂逅【前編①】
しとしとと雨が降る夜
その来訪者は、通常なら大半が寝静まるであろう時間帯にやって来た。
レイ・アリューシャは、微かに聞こえるインターホンの音に浅くも深くもない意識を浮上させる。灯のついていない部屋では、何も見えない。
レイ「……こんな時間に誰が」
静かに床に足をつけ部屋を出て行った。
歩き慣れた通路を抜けると、共有スペースとなっているリビングが明るいことに気づく。
不思議に思って、近づいていくと、少しだけ扉が開いている。
?「…っごめんなさい……迷惑だとは…思ったんだけど」
知らない声がする。
?「イリス、落ち着いて。何があったのか説明してもらえるかい?」
次いで聞こえたのは、聞き慣れたあの声が。
レイ「…っ……オリヴァー?」
彼女は中を覗き込んでしまった。
いつものソファーに並び合うように座るのは、オリヴァーとイリスと呼ばれた女性。
女性は凍えるように毛布にくるまっている。
イリス「……子供みたいなこと言うよ?」
オリヴァー「いいよ。何を聞いても驚かない自信がある」
イリス「…昔と変わってないから?」
オリヴァー「確かに面影はあるが、綺麗になったね」
イリス「…!…もう、またそうやってからかって」
女性は顔を隠すように毛布を被った
オリヴァー「からかうのは、アレンやギルバートの役目だろう?」
イリス「…そう、だけど、そうじゃないわ。……昔の方がもっと優しかった」
そんなやり取りをレイが直視できるはずもない。
レイ「……っ」
言葉が零れる前に、静かにその場を立ち去ろうとした時
?「レイさん?」
レイ「!……セ、オ」
セオ「…何があったんですか」
今、顔を見られる訳にはいかない。
滲む視界を誤魔化すように俯いて、早口に告げた。
レイ「なんでもないの、私は大丈夫だから」
セオ「…泣いてますよね。奥で何があったんですか?……言わないなら乗り込みます」
扉に手をかけようとしたセオを止めたのは、レイの震える声だった。
レイ「!まって………!」
セオ「……レイさん」
?「ちょっと、邪魔なんだけど」
驚いて振り返ると、そこにはクレアが立っていた。
セオ「なんでエクレアまで…」
クレア「私が居たら都合が悪いの?それより、2人でなにコソコソしてるのかしら」
レイ「…貴女こそ、こんな夜更けに何の用?」
クレア「決まってるでしょ。"非常識なお客様"にお帰り願うためよ」
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