ふ・れ・ん・ど・し・た・い
幽霊同好会
ふ・れ・ん・ど・し・た・い
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#1-1 ここには夢がちゃんとある
#1「幽霊同好会へようこそ!」
第一話
. ✎ https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=21339748
※下記本編と同じ内容です
赤黒い雲 マーブル模様のゆうやけ
消しかけの黒板 軋む床
しめつけられる✕✕✕ ✕✕✕の証
スノーノイズ、スノーノイズ、スノーノイズ
真っ暗闇に、教室の引き戸
引き寄せられるように
惹き寄せられるように
ただ、手を伸ばして────
. ✎_______________
「幽霊同好会へようこそ!
ここは、どんな部活でも幽霊部員になっちゃうような子が、放課後に集まる居場所よ!」
「……はい?」
入室早々、少女──ひとつに束ねられたボリューミーな白髪を揺らして、笑みを浮かべている──にユーモラスな演説をされ、思わず悪態のような返事をする。してしまう。
「見たことない制服だぁ! ちょっとじとーんだけど、きらきらだね! 何年生っ?」
こちらが『幽霊同好会』とやらを嚥下しきるまえに、演説少女の隣にいた桃色の髪の少女が、楽しそうな足取りで歩み寄ってきた。それはもう、とてとて、みたいな効果音でもつきそうな感じで。
「……三年生、ですけど……」
しぶしぶ、と言った感じで、というかほとんど気圧されるようにそう答えれば、桃色の少女は「あれ?」と漏らす。
「ゆめとおそろい? いっしょの、十八歳?」
「いえ、十五……えっ、あなた高三なんですか!?」
元気いっぱいのアンテナ、愛らしく跳ねたショートカット、無邪気すぎる態度、無垢すぎる笑み──どの要素を切り取っても中学三年生より幼い彼女は、十八歳を自称した。
失礼だとわかっていても──否、失礼とか失礼じゃないとかそういうことを考えよりも先に、思わず反射で、脊髄反射で、そしてどこまでも素直に驚いてしまう。
しかし、そんなこちらのびっくりも意に介さず、演説少女が、
「あら、中等部?」
と、首を傾げる。こてん。
「ここは高等部の校舎のはずだけれど……迷子かしら?」
迷子。迷子?
そう言われるのは、たいへん不服だ。不快だ。不愉快だ。
咄嗟に、ちがいます、と否定しかけて──言葉に、詰まる。
あれ?
「まぁいいわ。ここで会ったのも、何かの縁! 自己紹介をするわね?」
ぱん!
元気に手を叩く音で、沈みかけた意識が再び一気に浮上する。
見れば、演説少女があらためて笑顔をつくっていた。
「私が部長の、広沒志依愛! 同好会で部長ってのも変な話だけど、幽霊同好会は、元々は部活動だったのよ? 活動内容がなさすぎて同好会になってしまったけれどね。ゆめとは幼馴染よ。よろしくね」
ひろめ、しいあ。
愛らしい響きだな、と思うと同時に、変わった名前だな、とも思う。
そして、幼馴染だという『ゆめ』とは、先ほどの一人称から察するに、おそらくこの目の前の幼い少女(18)のことだろう。
と、無意識に視線を動かせば、待ってましたと言わんばかりに、彼女は大きく口を開ける。
「ゆめは、幽咲夢玲! 『ゆめれい』じゃないよ、『ゆめれ』だよ! 副部長なの!」
ゆうざき、ゆめれ……。
すごい。『ゆめれい』じゃないよ、というのはおそらく漢字の問題なんだろうけれど、どんな漢字なのかいまいち想像つかない名前だ。
結崎夢霊?
「ちなみに漢字は、幽かに咲くで『ゆうざき』で、『ゆめれ』は夢見る夢に八面玲瓏の玲だよ!」
「八面玲瓏の玲!?」
あ、漢字教えてくれるんですね、と感想を言う前に、お世辞にもあまり賢いとはいえないその言動からは想像のつかないワードが出て、大きな声が出てしまった。
そうやって彼女が十八歳であることよりもびっくりしていれば、部長を自称した少女が「ふふっ。ゆめの名前は漢字が想像しにくいから、私がそう言うように教えたのよ」と捕捉した。
なるほど。確かに、こっちの人の口から八面玲瓏なんて四字熟語が飛び出しても、驚きはない。
そうして納得していれば「それで、」と、賢い単語を使いそうな口が、そのままつづける。
「そっちでずっとそっぽ向いてるふりしてチラチラ見てるのが……」
「見てない! 自分で言う!!」
部長にそう指摘された少女は、怒ったように叫びながら立ち上がる。
切りそろえられた赤い髪をふたつに結え、白衣を羽織っていた。黄色い瞳は垂れていながらも鋭く、むすっとした表情でこちらを見つめていた。腕まで組んでいる。
先の二人があまりにも気さくで人懐っこかったため、その態度の差に少しだけ面食らってしまう。
「安栖魂歩榎。高校二年生。よろしく」
あせたま、ふえの。
また漢字の予想がつかない名前だ。あとで名簿とかもらえないだろうか。文字で見たい。
……って、いやいや。
そもそも、どうして自己紹介の流れに?
「あら。どうして白衣を着てるかとかのキャラ説明はいいの?」
「べつになんだっていいじゃない! ……うー……はいはいわかった、前は化学部だったのよ! それだけ!」
「……はぁ」
もう、なんか、はぁとしか言えなかった。
そうだ。そもそも、どうして自己紹介の流れになっている?
そんなことされても……困る。
あるのは困惑だけだ。困って惑うだけだ。
と、そんなふうに困っていれば、困り果てていれば、真後ろから大きな音がした。
ガラガラ!!!!
「み……みあちゃん、どしたの!?」
その正体は、勢いよく扉が開け放たれる音だった。
驚愕のあまり反射的に振り向けば、そこには、泥まみれの少女が一人。
凝ったアレンジのされた暗い藍色の髪も、明るい紫色が嵌めこまれた顔も、制服の上から着られたベストも、もちろん制服も、どこもかしこも泥まみれだった。泥だらけだった。
みあちゃん、と呼ばれた泥少女は、眉を下げて、えへへへ、と笑う。
「雨上がりって、だめなのです……滑って転んでしまって……転んだ先が、ぬかるんでて……」
「あらあら……えっと、この子が最後のメンバーの、みあ。見ての通りドジっ子よ」
泥少女につられたように苦笑しながら、部長は少女を紹介する。
すれば、みあ、と紹介された少女も、
「あっ、新入部員さんです? みあいは、亡果みあいです。高校一年生です。よろしくなのです」
と、泥まみれで泥だらけにもかかわらず、にこにこと笑った。
なきはた、みあい。
もう漢字の予想をするのも面倒なので、早く名簿がほしい。
……じゃ、なくて。
「え、と……あの。べつに、その……幽霊同好会? に入りたくて此処に来たわけじゃ、なくて……普通に、入る気ないんですけど」
完全に新入部員あつかいされたのをきっかけに、そう反論してみる。反抗してみる。
……否、反抗、なんて強い言葉を使うほど、強要されていないけれど。圧力もないけれど。同調圧力はむしろ感じないけれど。
しかし、こちらの少々失礼な意見も意に介さず、部長は「それでも構わないわ」と微笑んだ。
「だって、幽霊同好会は、行く宛がないときの居場所なんだもの。ふと思い出して、立ち寄りたくなったら来てちょうだい。それが部長である私の願いよ。だから……よかったら、名乗ってくれたらうれしいわ。次に来てくれたとき、なんと呼べばいいかわからないもの。迷子の中学生ちゃん?」
……、……。
どんな部活でも幽霊部員になっちゃうような子が、放課後に集まる居場所。
って、最初に言ってたっけ。
……そんな人間が、こんなにいるなんて。
「……故台美月。中学三年生です」
──これが、幽霊同好会との不思議な出会いだった。
. ✎_______________
. ✎ 歌詞
🌸シタイから!
💊シタイなら!
🫐シタイとき!
💭シタイでしょ!?
🍯いっしょに!
(👻はい!)
👻わたしたちはここにいます!
ここには夢がちゃんとある
フレンドなら ともだちでしょ
(🫐そうだ!)
👻「すき」って言ってみた
(🌸だいすきっ)
🍯キーンコン!カーンコン!からの下校タイム
💊いいえ わたしたちまだ帰らない
(🫐やだよー)
🌸部活動だよ 活躍しちゃうよ
💭新入部員募集ちゅっ!
💊ごめんね。って小さく言うよ
(💭あらまあ~)
🫐ケンカするほど ほにゃららら?
(🌸ほにゃら?)
💭ネバギブアップ!
💊🍯最強になれーるね
🌸シタイから!
💊シタイなら!
🫐シタイとき!
💭シタイでしょ!?
🍯いっしょに!
(👻はい!)
👻わたしたちは経験する!
食べて 眠って かしこくなる
校庭に 涼風吹いて
大きく手を振る
(💭また明日ねー!)
💊🫐🍯わたしたちはここにいます!
💭🌸ここには夢がちゃんとある
👻フレンドなら ともだちでしょ
(🍯そうだ!)
👻「すき」って言ってみた
(👻だいすきっ)
〖👻 部員紹介 👻〗
💭広沒 志依愛(cv.蓬)
https://nana-music.com/users/6551018
部長。高等部3年生。
気配り上手で、夢玲とは幼馴染。
🌸幽咲 夢玲(cv.あかりん)
https://nana-music.com/users/912797
副部長。高等部3年生。
天真爛漫で、志依愛とは幼馴染。
💊安栖魂 歩榎(cv.りる)
https://nana-music.com/users/5982525
高等部2年生。
素直になれない不器用さん。
🫐亡果 みあい(cv.あかりん)
https://nana-music.com/users/912797
高等部1年生。
臆病なドジっ子。
🍯故台 美月(cv.瑠莉)
https://nana-music.com/users/6276530
中等部3年生。
真面目なツッコミ役。
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