〈第5話〉雨の日、邂逅【前編②】
台本:由季 BGM:『nocturne』hotaru sounds様 イラスト:MΔWΔTΔ様
〈第5話〉雨の日、邂逅【前編②】
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【CEA】〈第5話〉雨の日、邂逅【前編②】
レイ「彼女はオリヴァーが対応してるわ。邪魔する気?」
クレア「"彼女"?ますます気に入らないわ」
そうこうしているうちに、気づかれるのも時間の問題だった。
半開きだった扉が引かれ、3人を迎え入れたのは──
オリヴァー「悪いね、起こしてしまったかな。そこは寒いだろう。入って」
3人は顔を見合わせると、部屋に足を踏み入れた。
───
5つのティーカップが並ぶ。
くゆりと昇る湯気を眺めていると、痺れを切らしたのか、白い髪の女性が勢いよく立ち上がった。
イリス「ごめんなさい!」
クレア「何に対して謝ってるの?ここに居ること?」
イリス「…えっと」
クレア「分からないのに謝ってるの?」
イリス「…ごめんなさい」
オリヴァー「クレア、その辺にしておいてくれないか」
セオ「…でも納得いかないです。どう考えても怪しいですよ」
イリス「…!」
オリヴァー「彼女は、俺の友人の妹。事情があって生活をサポートしてるんだ」
レイ「…私たちにも言えない?」
オリヴァー「そうだね。少なくとも俺だけの判断では…」
イリス「……オリヴァーさん、大丈夫、だよ。いつかは乗り越えないといけないし」
レイ「…話してくれるの?」
イリス「…はい。わたくしは、イリスと言います。オリヴァーさんとは、知り合って10年くらい?になりますね」
セオ「…10年」
イリス「はい!それで、あの、わたくしには3つ上の姉が居るんですが、その姉とオリヴァーさんが友達で、たくさん構ってもらいました」
クレア「…へぇ」
イリス「他にも、兄のような人達が2人居て…毎日は会えなかったけど、楽しい日々でした。……あの日が来るまでは」
そこで、イリスは手を握りしめた。
イリス「あの頃は善悪も分からない子供で、…無力だったんです」
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