【朗読】優輝さんが見た夢2
優輝
【朗読】優輝さんが見た夢2
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そして不思議なことに、彼の遺体のそばに刺身のようなものが乗った皿と変に赤黒い小さな酒があった。普通の葬儀ではあり得ない出来事にゾッとするも私は彼から目が離せなかった。死してなおこんなふうに扱われるのかと言う同情心があったのかもしれない。そう物思いに耽っていると、誰かが叫んだ。男だった気がする。
「さぁ!!異世界人の肉はいかがかな?!国王様が直々に食していいとおたっしがあったのだ!!」
途端に群がる人々。押しのけられてぶつけられた肩が痛い。
皿に手を伸ばして、口々に「美味しい」「これで病気が治る」「不老不死の力を手に入れた」と歓喜の声を上げる群衆を見て、私は悟った。
あぁ、この皿に乗っていたのは彼の肉なんだ。ご丁寧に血抜きもされて、その血は酒瓶に入れて飲むんだ。なんて合理的なんだろう。
「気持ち悪い」
思わずそう口にした。
その言葉に群衆が振り返り、私にいった。
「なぜそんなことを言うんだい?」
「異世界からきたとはいえ、こんな扱い酷すぎる」
そう言う私に誰かが言った。
「でも君、もう死んでるんだぜ?」
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