月に吠える
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月に吠える
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▶▶月に吠えるように歌えば
扉を開けると、いつの間にかテラスのようなところに立っていた。そばにいたメンバーのほとんどが姿を消して、今はうつらうつらしているソーンしかいない。本当に空間がめちゃくちゃになっているのだ。
空には相変わらず黒い月が光っている。その月に何か違和感を感じたが、その微かなひっかかりは形を掴む前にすぐに霧散してしまった。
「うぅん……これじゃあ一緒にいる人とはすぐにはぐれてしまうし不便よねぇ……」
「むにゃ……これは……慣れるしかないよ~」
ピオスは艷やかな唇から悩ましげにふぅとため息を1つ。本人にその気はないのだが、その仕草は傍目から見ると妙に色気が漂っている。
そのままソーンを引きずりつつテラスを進むと、ベンチが設置されているエリアが目に入る。そしてそこに人影を見つけたピオスはそこへ足を向けた。
「こんばんは、素敵な曲ね」
「こ、こんばんは……」
すると水色のワンピースの魔女は挨拶を返してくれたのだが、ヴァイオリンを奏でていた魔女の方は演奏をしながらちらりとピオスの方に視線を向けるだけで特に返事はなかった。無口なのか。それとも機嫌を損ねてしまったのか。しかしそれにしたって彼女の演奏は素晴らしいものではあったので、ピオスはソーンのクッションの端っこに腰を下ろしてそのまま演奏を聞くことにした。何も言わないのなら、別に聞いていたって良いだろう。
そしてたっぷりしっかりのんびり5分ほど演奏を終えると金髪の魔女──ニコラはどこか満足げにふむと息をついて口を開いた。
「こんばんは」
「…………?」
一瞬なんの事か分からなかったので、ピオスは反応が遅れてしまったが、しばらくしてそれが自分がした挨拶への返事だと気付いた。
「あぁ……こんばんは。さっきは無視されちゃったのかと思ってたからちょっと驚いちゃったわ」
「さっきは演奏中だったから」
なるほど。としてもマイペース過ぎないだろうか。
「僕の演奏はどうだった?」
「とっても素敵だったわ。んふふ、こんなの初めてで何だか胸がドキドキしちゃった」
「はわ……」
そうピオスが答えて微笑んで髪をかきあげると、隣にいたもう1人の魔女──シムナが頬を赤らめる。ピオスの艶っぽい仕草にあてられてしまっているらしい。本当にピオスには他意はないのだが……ただ新薬の被験者をお願いするときには便利なので、今のところ自分の言動を変えるつもりはない。
一方、ニコラは表情を変えずに頷いた。
「それなら良かった。僕の役目は音楽でリュヌの宴を彩ることだから。彼女はあまり僕の音楽が気に入らなかったみたいで……」
「えぇと、す、すみません!違うんです!気に入らなかったんじゃなくて、音楽とかよく分からなくて。戦場……じゃなかった、えと、戦時中とかだとあまり娯楽とか無かったので!戦争とか全然参加したことないですけど!それでも貧しい時代だったので!」
「んんん……ふぁあ……何?」
シムナが慌てて答える。その勢いはすさまじく、ニコラの演奏を聞いてすっかり気持ちよく夢の中にいたソーンが目を覚ますほどだった。
「そうなのか。それならこれから沢山聞いて知っていけばいい。ソーンも起きたみたいだし、もう一曲演奏させて欲しい」
そう言ってニコラはまたヴァイオリンを構える。月下の演奏会はまだ続きそうだ……
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「月に吠える」
🥼ピオス・フレミング(cv.海咲)
💭ソーン・ドーマウス(cv.蓬)
🎻ニコラ・テンポルバート(cv.日向ひなの)
🔫シムナ・ウェーバー(cv.瑠莉)
🎻路傍の月に吠える
影一つ町を行く
💭満ちることも知らないで
夜はすっと深くまで
🥼気が付けば人溜まり
この顔を眺めている
🔫おれの何がわかるかと
獣の振りをする
All:一切合切放り出したいの
生きているって教えてほしいの
💭🥼月に吠えるように歌えば嗚呼、鮮やかに
All:アイスピックで地球を砕いて
この悪意で満たしてみたいの
🎻🔫月に吠えるように歌えば嗚呼、我が儘に
All:お前の想うが儘に
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☪︎素敵な伴奏ありがとうございました☪︎
萩ぴ*様
https://nana-music.com/sounds/061fc9d8
☪︎ 𝕋𝕒𝕘 ☪︎
#萩伴奏 #かじドラム
#魔女ピオス #魔女ソーン #魔女ニコラ #魔女シムナ
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