うらぽしゃ
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うらぽしゃ
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▶▶その顔は忘れないわ
ジェーンが扉をあけると、そこは円形の小さな礼拝堂だった。礼拝堂には3箇所に扉があり、ジェーンの他に魔女が2人同じタイミングで入ってきたようだ。
そのうちの1人の顔を見てジェーンは声をあげた。
「あっ!」
「ジェーンだぁ」
右の扉から入ってきたのはリュヌだった。リュヌもすぐにジェーンに気づいたのか目を輝かせる。
「さっきはぐれちゃったから心配してたの。無事でよかった……」
「ありがとう!また会えて嬉しいなぁ」
そんな会話をしている最中に、じっとりとした視線を感じたジェーンは振り返った。もう一つの扉の前にはくしゃくしゃの灰色の魔女が立っていた。顔を隠しそうなほど長い前髪の奥からギラギラとした黄色がジェーンとリュヌを睨みつけている。
ジェーンはヒッと呼吸を詰まらせた。
「あぁ……なるほど、そういうこと……そういうことなんですねぇ……散々このお屋敷で迷わせて、疲れさせて、挙句にラビッシュだけ仲間外れにするんだ……そういう趣向の見世物なんですねぇ……」
そう言ってラビッシュがナイフを取り出したので、本格的にジェーンは悲鳴をあげた。そこですかさず意識がジョーへと切り替わる。
「おいおい、人聞きが悪いな。僕たちがあんたを虐めてるみたいな言い方じゃないか」
「そ、そう、そうなんじゃないんですか?ラ、ラビッシュが、ば、ばか、バカで、グズだから……」
「違うよぉ!ラビッシュのことを迷子にさせちゃったのはわざとじゃなくて……私がちゃんと皆を招待出来なかったからなんだ。ごめんなさい……」
その言葉にラビッシュは少し疑うようにキョロキョロとリュヌとジョーの顔を見比べたが、しばらくすると恐る恐るナイフをしまった。
「去年もこんな感じだったんだ。ここは色んな国の色んな時代の魔女が集まって、出会うはずのない者が顔を合わさるから空間が不安定になっちまうらしい。でもここでオトモダチを作れば解決する」
「お、お、おともだち?」
「えーと何だっけ、確か「縁」を結ぶことで空間が安定するとか何とか」
「そ、そんな……」
ラビッシュは青白い顔をさらに白くした。そして頭を抱えるとぐちゃぐちゃの髪をさらにぐちゃぐちゃにして頭を抱える。
「ラビッシュみたいな出来損ないに、お友達をつくるなんて無理、無理、無理ですぅ……」
「皆優しいからそんなことないと思うけどなぁ……それにこの宴に来てくれたなら私のお友達だよぉ」
「えっ……お、お友達に!なってくれるんですか!」
「うん。私はリュヌだよぉ!よろしくね」
真っ白だった顔を途端に紅潮させて、ラビッシュはらんらんと目を輝かせた。口元をぐにゃりと歪ませ(多分笑っているつもりなのだろう)リュヌが差し出した手を両手でがっちりと掴んだ。
「優しい……素敵な人なんですねぇ。もちろんラビッシュはお友達になりたいです!お友達……お友達……えへへへへ!ラビッシュにして欲しいことがあったら遠慮なく何でも言ってくださいね。ラビッシュは何でもしてあげますから!」
「それなら一緒に遊びたいなぁ」
すっかり盛り上がっている2人を見て、ジョーは呆れたように肩をすくめた。
「はぁ……あの魔女、友達にするのはヤバそうなタイプに見えるけどな……まぁとりあえず今回はジェーンが無事だし良しとするか……」
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「うらぽしゃ」
🎗️ジェーン・ドゥ(cv.uta)
🔪ラビッシュ・グレイ(cv.あかりん)
⌛リュヌ・ブランシュ(cv.はいねこ)
🎗️(舌打ち)
🔪どうか 神の御慈悲を給え
恵まれないあなたは人を殴るから
⌛どうか 地獄へと征きませ
豚に真珠とはよくも言えたものだから
🎗️近寄るなよ その足元這いつくばって
生まれてごめんねと 口走りそうになるから
All:人の上に立って講釈を垂れる
化粧のできないその顔は忘れないわ
⌛血で塗れた椅子に腰掛ける猿よ
🎗️ああそのままいつまでも
(🎗️)私の死体を想像して
🔪何かを成し遂げた気でいろ
☽・:*☽・:*☽・:*☽・:*☽・:*☽・:*☽・:*☽
☪︎素敵な伴奏ありがとうございました☪︎
留々紺様
https://nana-music.com/sounds/063421f2
☪︎ 𝕋𝕒𝕘 ☪︎
#留紺の伴奏
#魔女ジェーン #魔女ラビッシュ #魔女リュヌ
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