夜行
ヨルシカ / テラリウム𓈒𓂂𓏸
夜行
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𓏸𓂂𓈒𓂃夏が終わって往くんだね ♔𓂃𓈒❁𓈒𓈒𓂂𓏸
『夏に囚われている』
きっと、私にはその言葉がよく当てはまる。
𓂃 𓈒𓏸𑁍𑁍𓏸𓈒 𓂃
幼い頃からよく耳にしていた都市伝説みたいな話。
〇〇高校の旧校舎では過去や未来、望む場所へいけるという噂があった。——馬鹿げた話だ、というのは私もわかっていた。それでももう、そんな馬鹿げたことにしか希望がないほど私の願いは非現実的で、夢みがちな少女が考えるものと同等だった。
忘れたくないのに。ずっと私の世界の全てだったのに。
時の流れはどこまでも残酷だ。
彼女と生きた時間よりも多くの時間を一人で過ごした。彼女の声が、姿が、少しずつ遠くなっていく。
春も、夏も、秋も…いつまでもただ、一緒にいたかっただけなのに。
彼女がいなくなった夏に囚われている。これからもきっとそうだ。——そうでいたいのだ。
春がきて、夏が響いて、秋が香り、冬が過ぎた。
変わらない日々に焦っても何も変わらないなんてことは嫌というほど理解していた。
それでも残された学生期間で何かが変わるかなんて、そんな奇跡のようなことが起きるとも思えなかった。
どんなに調べても噂は噂。そんなおかしな経験をしたことがある人なんているわけがなかったし、噂の現場には何度も、何度も何度も足を運んだ。
それでも手がかりのひとつも見つかりやしなかった。
…当たり前だった。諦めて…、そう、諦めるしかもうないのだ。
𓂃 𓈒𓏸𑁍𑁍𓏸𓈒 𓂃
三年になって初めての登校日。新入生の人数に合わせて行われた靴箱の移動をすっかり忘れていて、二年間使用していた靴箱を開いてしまった。
そこで見つけた私の名が書かれただけのシンプルな白い封筒。中身は旧校舎の一室への呼び出しのようなメッセージと、褪せて古くなった鍵。告白…にしては指定された場所は珍しい場所だし、差出人不明で鍵を預けられてしまった。こうなってしまえばもう、呼び出しに応じるしかないだろう。
何より、このまま封筒を入れたままにすると、これからこの靴箱を使う新入生がいらない気を使うことになってしまうだろう。
一瞬。旧校舎の噂がよぎって、すぐに考えることをやめた。
希望を持つとあとが辛いということを、ナズナはよく知っているから。
ナズナはまた裏切られることになる。
その鍵は、その扉の先は、噂で聞いた異空間と言えるだろう場所へ繋がれた。
繋がれる先はいつだって不思議な場所で、そこで何人か同じ経験をしたであろう少女たちと知り合った。
何度か通って、いつだってそこは誰かの記憶の片鱗を再現した不完全な仮想空間のようなものである、というふうに結論付けた。
つまり、過去に戻って彼女に会うことも、ナズナがあの頃に帰ることも不可能だということで。
悲しいという気持ちと、終われない気持ちを終わらせるきっかけができたことへの安堵。
どちらも自分の感情で納得しており、どちらも受け入れたくないとどこか抗っていた。
落ちつかない感情の波の中で、どこか達観した自分が夏の終わりを告げた。
ナズナの10年続いた夏は終わりを迎えた。
彼女以外の親しい友人を作って、医者になる夢に向かって勉強して。
そうやって歳をとっていくのだ。そういうものなのだ。
大人にならなくちゃ。
過去は過去でも、未来は待っていてくれないのだから進まなくては。
ナズナの長く続いた夏は、いつまでも照らしつづけていた陽は、静かに、緩やかに眠りについた。
また会える日がきたら、そのときは笑って大人になったのだと伝えるために。
〖夜行〗
🍹ねぇ、このまま夜が来たら、
🍀僕らどうなるんだろうね
🎨列車にでも乗って行くかい。
🧊僕は何処でもいいかな
💄君はまだわからないだろうけど、
🌷空も言葉で出来てるんだ
🫧そうか、隣町なら着いて行くよ
(全員)はらはら、はらはら、はらり
晴るる原 君が詠む歌や 一輪草
☕️他には何にもいらないから
(全員)波立つ夏原、涙尽きぬまま
泣くや日暮は夕、夕、夕
☕️🫐夏が終わって往くんだね
☕️そうなんだね
𝑚𝑒𝑚𝑏𝑒𝑟𓂃◌𓈒𓏲𓆸
No.1 アザレア💄
CV. IRYU
No.2 アスター🌷
CV. あじのもと
No.3 アベリア🫧
CV. 蓬
No.4 エリカ🎨
CV. 木綿とーふ
No.5 スミレ🫐
CV. はいねこ
No.6 ツバキ🧊
CV. 唄見つきの
No.7 ナズナ☕️
CV. 瑠莉
No.8 ユズ🍹
CV. 07
No.9 ルピナス🍀
CV. 春野
🏷𓂃𓈒𓏸︎︎︎︎
#夜行
#ヨルシカ
#terrarium_Sct
𓂃 𓈒𓏸𑁍素敵な伴奏ありがとうございました𑁍𓏸𓈒 𓂃
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