【声劇】題:荒御魂【台本】
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【声劇】題:荒御魂【台本】
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No.42
【台詞】
地を這う神は、全てを蹂躙(じゅうりん)する。木々をすり潰し、人も家も瞬く間に砂礫(されき)へと変えた。
願いも思いも、過ぎればそれは業(ごう)を含んだ毒に変わり、心優しき神を蝕(むしば)んだ。
清らかな水のようなお姿は見る影もなく。荒(すさ)みきった濁流(だくりゅう)の如き御身(おんみ)は、何と悲しき変わり様だろうか。
慟哭(どうこく)は、叫びに。
痛みは、破壊へ。
黒く黒く深い闇に囚われるように哀しき神は、墮ちていった。
慈悲もなくふるわれる衝動は、山を消しとばし、悲痛な鳴き聲は大地を割った。
憎しみも怒りも、その澱(よど)んだ瞳には読み取れない。
だが、人間の欲深さが生んだ荒ぶる神は人々に等しく天災をもたらした。
皮肉にもそれはまるで、ありし日に善神であった頃、皆に平等に幸福を与え続けたお姿に似通っていた。
人々は赦(ゆる)しを求めたが、縋(すが)る相手はもういなかった。
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