ラグトレイン
🍅ラズ(稲葉曇)
ラグトレイン
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✦ 𝙨𝙤𝙡𝙤 𝙨𝙤𝙪𝙣𝙙 ✦
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「ははっ、心の傷は簡単には消える事はない。後悔してからじゃ遅いけど、そんな気持ちをバネに前に進む彼はもっといい教師になる。」
story
僕は、教師だ。
と言ってもヘタレな教師だ。
カランカラン
そんな僕は、来れる日には毎日この喫茶店でナポリタンを夜ご飯で食べている。
…とある生徒と一緒に。
その男の子は、少し喧嘩が多く学校でも"不良"と呼ばれる部類の生徒だ。
『また、喧嘩かい?そんなに怪我をしていたら身体がもたないよ…。』
「あー、でも先生がこうやってナポリタン奢ってくれるなら体力は回復するな!」
そういう事じゃ…ないんだけど。
喧嘩をやめさせるには……そうだ。
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「はぁ!? 毎日出す課題プリントで5割の点数取れたら喧嘩してもいい!? 俺、バカだから無理だって」
半分の点数をとったことの無い彼にとってはかなりの酷を課してしまったけど…
成績も良くなり、点数も取れる頃には喧嘩ぐせも納まっていると信じたい。彼も、いい意味でも素直で優しい少年だ。
数日後
彼の成績は徐々に良くなっていき、半分以上の点数を取り始めていた。
でも、最近では成績がグッと下がり半分以下をとることも増えていた。
「……あはは、俺すぐ調子のるからさぁ?点数下がったのもそのせいかも!…次は頑張るよ」
彼はそう言って教室を去ってしまった。
久しぶりにあの喫茶店のナポリタンを奢ってあげようと決めた。
次の日
彼が死んだと職員会議で伝えられた。
いい意味でも素直…点数が低い日はきちんと喧嘩をせず、取れるようになった日には喧嘩癖が収まっていた。そこに漬け込んだ奴らが彼を一方的に虐める状況が生まれてしまったようだ。
彼は自殺だった。
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彼が亡くなってからは、自分への情けなさと、自分の提案で彼を追い詰めてしまったことに酷く落ち込み喫茶店にも足を運ぶことは無くなった。
ふと、自分のスマホを見ると電話アプリに留守番電話が入っている事に気づいた。
自分の仕事に集中しすぎて気づけなかったようだ。 留守番電話を聞くために耳にスマホをかざす。
彼の声だった。亡くなる前にかけていたらしくまた、ナポリタン奢ってくれと、少し元気はないが楽しそうだ。
もっと、生徒の…子どもたちの声や訴えかける表情に耳を傾けなくてはならないと決心した。
彼の事を決して忘れずに。
『喫茶店に頼み込んで、ナポリタンを彼と食べよう……墓参りに行かせてもらおう。』
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歌詞
夕方と退屈のお誘いを断って
一人きり 路地裏は決して急がないで
ほら 横断歩道も待ってくれと言ってる
見張る街角があなたを引き留めてく
離れ離れの街を繋ぐ列車は行ってしまったね
失くした言葉を知らないなら ポケットで握りしめて
あがいた夢を捨てて揺れる今日は眠って誤魔化せ
失くした言葉を知らないなら 各駅停車に乗り込んで
✦ 𝘤𝘢𝘴𝘵
サボハニ/🍅ラズ
https://nana-music.com/users/4082289
✦ 𝙩𝙖𝙜
#milk
#ラズから君へ
#ラグトレイン
#星降る音楽会
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