愚鈍と偶像
桐生「」浅霧「」
愚鈍と偶像
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--ああ、ピアノの。
まるで私の心の奥底までね、見透かされているようだったのよ。
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[左右同時に]
>>右
[ ベートーヴェン: ピアノソナタ第14番 嬰ハ短調 Op.27-2 「月光」 第3楽章 ]
要:《熱烈な、恋をしていた》
湊:………ああ、
要:《燃えるような恋情と、叶うことのない未来と 折れた花に祈るように。》
湊:───俺はあの日、きっと 呪われたのだ。
左<<
[ J.S.バッハ:「無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ」第3番 第3楽章 ガヴォット ]
湊:《「心が、踊っているようだ!」》
要:………ああ、
湊:《「世界が滅ぶ最期の日にも、一日中この曲を聴きたいとさえ思うんだ」》
要:───私はあの日、きっと 夢を見たのだ。
[蝉の声]
[ ショパン:エチュード 第13番 変イ長調 Op.25-1 「エオリアンハープ」]
要:「ピアノ、」
要:「……クレッシェンド、デクレッシェンド、…それで」
[音] [同時に]
要:『「(あ、)」』
要:「………相変わらず、へたっぴ」
要:『…………………………はは、』
[ J.S.バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ 第2番ニ短調 5.シャコンヌ ]
[筆記音]
湊:「フォルテ、あり。テヌートはバツ。テンポが全体的に遅く、……ただ、」
要:「それ、」
湊:「……何」
要:「いや、……楽しいのかなぁって」
湊:「別に」
要:「じゃ、嫌々?」
湊:「好きでやってる」
要:「そう」
要:「そっか」
[音]
要:『 ………、ぁ 』
湊:偶像になることを望んだ、愚鈍な人間に成り下がる。
湊:『 ──、ッ 』
要:同じ演奏をしても、偶像になんかなれやしないのに。
[無音]
要:「明日もきっと、明日だから」
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--ああ、ヴァイオリンの!
まるで音楽がさ!ステップを踏む度に笑って、踊っているようだったんだ!
桐生 湊[キリュウ ミナト]
▷ 高校一年目の愚鈍な男。
とある演奏会で、浅霧の音を聴いた。
楽譜に込められた"彼ら"の声がきこえる。
【天才ヴァイオリ二スト!
桐生湊の現在とこれからに迫る!】
大和 -そういえば、浅霧さんは桐生さんとは
同い年で昔からの知り合いなんですよね。
浅霧 -はい。実はそうなんです。
大和 -もしよろしければ、桐生さんの昔と今の印象の変化を教えていただけますか?
浅霧 -昔と今の印象の変化、ですか。ええと…実は昔、私もヴァイオリンを弾いていたことがありまして。
大和 -えっ!そうなんですか?!
浅霧 -はい、といっても全然上手くないんですけどね(笑)……昔の演奏会での桐生は、今よりもずっと静かだったように思います。一言で印象を言うなら怖かった、ですね。昔といっても小学校くらいですから、だいぶ前なんですが。
大和 -怖かった、ですか?
浅霧 -ええと、落ち着いていて静かなのは昔からだったんですが、冷たい感じでしたね。機械的と言いますか…なんと言いますか少なくとも今とは全然違いましたね。
大和 -現在とは印象が全然違っていたんですね。その頃の桐生くんも気になります!
浅霧 -あ…えーと、知らない方がいいこともあると思います…(笑)
まあ、そのなんというか、今は昔よりだいぶ顔に出るようになりましたし、なんとなく元気になった気がします。演奏中は誰より楽しそうですしね。
理由は分かりませんが今は憑き物が落ちた、と言いますか…もしかしたら、今の桐生が桐生の本当の姿なのかもしれません。
大和 -そうでしたか。今の桐生くんからは全く想像できませんが、今後桐生くんの新しい一面を見ることがあるかもしれないですね!
では最後に、桐生くんのこれからについて浅霧さんの思いや考えをお聞かせください。
浅霧 -これからについて…少し、難しいですね。ええと、そうだな……。これは個人的な意見で、私が言うようなことでは無いかもしれませんが……桐生はきっと、もっと大きな舞台に立つんだと思います。
大和 -大きな舞台…。今よりもずっと大きな、ということでしょうか。
浅霧 -はい。桐生は、そういう人間だと思うので。───きっと。
+ + + + +
浅霧 要[アサギリ カナメ]
▷ 高校一年目の愚鈍な女。
とある演奏会で、桐生の音を聴いた。
楽譜に込められた"彼ら"の感情が分かる。
【心を見透かす音楽を奏でる
天才ピアニスト 浅霧要の今とこれから】
早野 -それでは早速、本題に入らせていただいてもよろしいでしょうか。
桐生 -ああ、はい。
早野 -ありがとうございます。では突然にはなりますが、桐生さんは浅霧さんと昔からのお知り合いだとか。
桐生 -まあ、はい。そうですね。
早野 -とても長い付き合いだとお伺いしているのですが、昔の浅霧さんと今の浅霧さんの印象の変化等ありますか?
桐生 -印象の変化…。
早野 -あまり深く考えていただかなくとも、桐生さんが感じたことや考えたことを教えていただければなと。
桐生 -……ああ、ピアノやってますよね。
早野 -?ええ、はい。されていますね。
桐生 -その演奏会でよく会いました。
早野 -…桐生さんが何故、ピアノの演奏会に?
桐生 -ピアノ、やってたんで。
早野 -え、………そ、そうだったんですね。
ええと、その時はどのような印象でしたか?
桐生 -上手いな、と思いました。……あと、静かだなと。
早野 -浅霧さんが、静か、ですか。
桐生 -静かというか、言いたいことを言わないままで置いておく感じと、いうか…。
今とは、まあ、違いますね。
早野 -今の浅霧さんにはそのような面影はあまりありませんし、とても驚きですね。桐生さんはその頃の浅霧さんとはよくお話を?
桐生 -全然。
早野 -全然、ですか。
桐生 -たまに、お互いが出来ていなかったことを指摘することはあったような…。
近くて、遠い…というか。離れたり、近付いたり、見えなくなったり…そんなことを繰り返していた気がします。
早野 -なんといいますか、深いですね。桐生さんと浅霧さんの関係は言葉では表せないもののように感じました。
では、今の印象と、これからの浅霧さんについて何か思いや考えはありますか?
桐生 -……今は、音に全部乗せてるって感じですね。まあなので…浅霧の音楽を聴きたいって人が、増えるんじゃないですか。
浅霧はそういう人間だと、思うんで。
───きっと。
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性別変更及びそれに伴う一人称・二人称の変更、世界観を損なわない程度のアドリブは可です。
また、キャプション内外問わず転載及びコピペはやめてください。これら以外のことに関して心配なことがある場合には、お気軽にご質問ください。
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ラストシンフォニー 様より
・「ベートーヴェン: ピアノソナタ第14番 嬰ハ短調 Op.27-2 「月光」 第3楽章」
・「J.S.バッハ:「無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ」第3番 第3楽章 ガヴォット」
・ショパン:エチュード 第13番 変イ長調 Op.25-1
「エオリアンハープ」
・J.S.バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ 第2番ニ短調 5.シャコンヌ
その他SEを
効果音ラボ 様
効果音辞典 様
無料効果音で遊ぼう! 様
ポケットサウンド 様
On-Jin ~音人~ 様
魔王魂 様
よりお借りしました。
──朝起きて、目が覚めた。
その時にはじめて 泣いていることがわかった。[08/11]
──深夜二時、破れた楽譜を思い出す。
あれは、一体なんの楽譜だったっけ。[08/12]
──どうして音楽を始められたんですか?
そう、ですね。…偶像に、なりたかったから。[08/13]
──音楽を好きになった時にね、
音楽を嫌いになるんだと思ったんだ。[08/14]
──あの日、初めて演奏を聞いた時、
同じ人間には到底思えなかったんだ。[08/15]
──明日は 演奏会の日。
うん、上手くいくかな。上手くいくといいな。[08/16]
──もしかして 何か、違った?[08/18]
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#声劇台本 #透のはなし
Comment
2commnets
- 和。-なごみ-夜分に失礼いたします。 コラボ先にてお借りいたしました📘🎼 ※女性版桐生さんを1人称変更してお芝居させていただいております。 素敵な物語をありがとうございました<(_ _*)>
- 亀ノ神1番!1番! お借りしました!!!!!!!!!