Stella
Fling Posse
Stella
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Color-less #今鍋公式
Stella〈起〉
いつの間にか眠ってしまっていた。放課後の爽やかな香りがしていたはずの車内は、いつの間にか古い油と石炭の燃える匂いに変わっていた。
窓の外は一面に銀河が広がり、その隙間を縫うようにレールが伸びている。ふと、列車の進む先へ視線をやったその時、一条の星が、まるで何かを示すように鮮烈に、真っ直ぐ射止めるように熱烈に、夜宙の縁へ灯を架けた。
天鵞絨の張られた列車の中に汽笛の音が響き、とある星に停車した。
降りるべきか、と悩んでいる間に列車の扉は閉まり、一人の乗客が同じ車両へとやってきた。
「この星をどう思う」
他に誰もいない車中でわざわざ同じボックス席へ座った乗客は低い声で問う。問いかけに答えるべく星の様子を見る。
戦火に焼けたのだろうか、大地は荒廃し、鉄屑と化した剣や鎧などが赤茶けて転がっている。それなのに、その戦をしていたであろう民草が誰もいない。
「思い出がこびりついた星、でしょうか」
寂しい星だ。痛ましい星だ。もうここに生き物は根付けないだろう。
そうか、と乗客はひとつ頷いて車窓を眺める。その耳には戦には不要そうな美しい装飾が光っている。
「思い出は悪だと思うか」
列車はゆっくりと動き出す。
「いいえ、いいえ。人は思い出を捨てて生きてはいけません」
思い出が詰まった星が遠く流れていく。後ろ髪を引かれないように、決して振り向かずに星の隙間を進む箱舟に揺られる。
彼はまた「そうか」と言って目を伏せた。
「民を思うこそ、余はそれを持ってここを発つのだ」
車内の静閑の中に、数多の見送りを聞いた気がした。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
🌳どこかで星が流れた
それは手繰られるように夜の縁をなぞった
🌫焼け落ちた剣の星で王様が
🌳右側が水晶、左側が砂の星で山賊が
📚光り方を忘れた隅っこの星で科学者が
📚ふと同じ流星を仰いだ
🌫物語の切れ端を乗せた船は
瞬きの隙間を縫って飛び去った
🌫余の国は滅びた 綻びた覇道への扉
立ち退く身を尚も取り巻く硝煙と敗戦の残り香
奇跡の到来などを信じた悲劇の蒙昧と民は云った
自責と後悔に灼かれながら星を追われる逃亡者
モノクロな窓の向こう遠のく王座
死に至る猛毒とは理想の主張か
なればこそ人を説くようだ
降下し出す救命艇 見知らぬ星に向ける Venez m'aider
生かされた意味を meditate 再建の日を夢見て
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