前編③ 第4話 真実と虚構【CEA】
台本:由季 BGM:『ad-lib piano BGM 揺籃色』レーニャ様
前編③ 第4話 真実と虚構【CEA】
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【CEA】〈第4話〉『真実と虚構』前編③
あれから口を噤んだまま、楸は俯いたままだ。
要「……楸」
楸「…………分かってるよ。危ないことも。でも、このまま休んだら、犯人の思う壷じゃないの…?」
要「……」
楸「……私が囮になる」
要「え?」
楸「そしたら、早く捕まえられるでしょ?一人なら…みんな危なくないよね。…誰も傷つかない、よね…?」
要「無茶だよ」
楸「…分かってる」
要「分かってない」
楸「分かってる!」
要「分かってない!」
楸「…っ」
要「楸、悔しい気持ちはよく分かる。でも、こんなことをしてもあいつらは喜ばないよ」
楸「…うん」
要「怪我をしてほしくないのは、楸も同じだからな?…そうやって突っ走るの悪い癖だぞ」
楸「ごめん」
要「俺たちはプロである前に、ひとりの人間だ。ここは専門家に任せよう」
楸「……そう、だね」
要「よし!ほら、いつまで泣いてんだ?俺が泣かしたみたいじゃん」
楸「…っ…要のせいだもん…」
ますます、泣きそうになる楸に要が慌てる。
要「えぇ!?ごめん、ごめんって」
楸「許す!…よし!行こう!」
要「どこに?」
その問いに答えることなく、楸は悪戯な笑みを浮かべた。
楸「ここでやられっぱなしのペルソナではない!でしょ?…きっと、璃蘭も瞬もどこかで動いてくれてる」
要「…だな。でも、その言い方だと、俺は何もしてないみたいだ…」
楸「やってるよ?」
要「ん?」
楸「私が突っ走るのを止めてくれたでしょ?おかげで頭が冷えた気がする!」
要「……気がするんだ」
楸「ほら行くよー!」
楸は勢いよく駆け出して、その場を後にしていく。
対する要は、元通りの雰囲気に戻った楸を見て、安堵のため息をついた。
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