夏光
藤原 朔「」/丹下 葵『』
夏光
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「───浮かれていた。
今では笑い話になるだろう。
彼女の前では、太陽さえも脇役なんだと。
当時の僕は本気でそう思っていた。
夏光を傍らに、丹下葵は笑う。
ほら。
「 笑った。 」
『 ん? 』
「 あ、いや、独り言。 」
『 そう。 』
『 「 ………… 」 』
『 夏のはじまり 。 』
「 ? 」
『 夏至。 』
「 ああ。もう7月か。 」
『 ふはっ、ちょっとはやくない? 』
「 ︎︎たかだかあと9日だろ、そんなもんだよ。 」
『 …そうかなぁ。』
「 … 」
『 そうなのかな。 』
手が触れた。
恥ずかしい、汗ばむ手が、骨が溶けそうな程に熱い。
「……。」
僕は葵のペンポーチへ逃げた視線を、戻した。
あぁ、笑ってる、君は。
━━━━━━━━━ 刃 物 の 様 に 、 綺 麗 だ 。
…………
……
カラスの鳴き声で目が覚めた。
思い出した、教室の隅で、あの夏に取り残されて。
僕は。
果物のように美しい君の肌を忘れられず。
『 夏のはじまり。 』
︎︎ ︎︎ ︎︎"︎︎思い出︎︎ ︎︎"︎︎と呼べるほど、僕は、まだ。
「──────まだ。」
強くなれない。
藤原 朔フジワラサク 「」
丹下 葵タンゲアオイ『』
夏光…カコウ
夏至のお話。今日書いてしまった。
演者さんがだいぶ早めに読む体で文章を書いています。
崎山蒼志くんという方の歌を題材にしていますʕ·͡·ʔ
アドリブOKです。
ご使用の際は、素敵なharukiさんの伴奏に拍手をお願い致します。光がぽわぽわと淡く朧気に灯る様な、または霧の中で鈍く走る船の汽笛のような音がたまらない…。
#声劇台本 #2人声劇 #二人声劇
#冬紀コウの台本
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