すろぉもぉしょん
🍇ラクス(cv白月)
すろぉもぉしょん
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#てぃ〜ぷろ Solo collection vol.3
「ウタノカタチ」
さあ、目覚めのときです。
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一緒に周囲の見回りをする後輩からの視線を感じて目を合わせてみたらそらされた。このやり取り、この間もやった。パトロールの息抜きにでもちょっとからかってみるか。
「めずらしいね。考え事かい?」
「ん?あぁ…ちょっとガキの頃のことを思い出してて。」
「いまでもまだ小さいけどねぇ。」
「あたしはまだこれからだよ!大器晩成タイプ!先輩とは違うのー!」
「はいはい。で?小さい頃のこと?」
……やっぱりこの後輩、からかいがいがある。まるでウチのチビたちみたいなとこあるけど、この後輩の方がだいぶ年上だった気がする。そんな事考えて笑ってみると、不思議そうに問いかけてきた。
「先輩は上にも下にも家族いるんだろ?」
「たくさんね。そういえばれもんちゃんはひとりっ子だっけか。」
「おう。じゃねぇとこんなのできあがらねぇだろ?」
そう冗談交じりにニカッと笑う後輩は、強い子だと思う。大事な物になるとすぐムキになるような私と違ってね。
「確かにねぇ…。」
私の妹だったらもっと甘えさせてあげられたのかなって。生まれもあって、弱いところなんて見せられずに育ったんじゃないかな。
「お姉ちゃんいればよかったとか思う?」
ふとそんなことを聞いてみると、ちょっと悩ましげな顔をした。これ、もしかして地雷踏んだかなって少し心配になる。顔色伺ってばっかりじゃ良くないのは分かってるけど、如何せんど真ん中ですから世渡り上手で上と下の様子見ばっかりしちゃうのがくせなわけでしてね。
「姉貴分はいたな。先輩も知ってるだろ?」
そうやって明るく答えてくれるのが先輩が安心するところです。姉貴分ね、私と同期の。……なんだか、私じゃないのがモヤッとしましたけど、これは頼られてばっかりの姉さんしてたから違和感なだけね。
「いちご?」
「そうそう。ガキの頃に家を抜け出して迷子になってんのを何回か助けてくれたんだよ。」
「ほう……って抜け出しては迷子かい。」
「しょうがねぇだろ。部屋の中で静かになんてしてられねぇって。」
れもんちゃんらしいや。思ったことはやり抜く強さを持ってるけど、後先考えないからほんとに心配になるよね。
「こうやって先輩にありのままで喋ったり出来るのも、巡り合わせてくれたあいつのおかげだよな。」
いちごのこと、大好きなんだってつたわってくるね。
「そうねぇ。なんか、2人らしいね。迷子ちゃんはあーんな優等生とまではいかなかったみたいですな?」
「でも、窮屈だった生活をだいぶ楽にしてくれたよ。いちごは。……憧れだよ。」
「いいねぇ。」
そんな思い出話をしながら道を進む。後輩の柔らかなツインテールが風に可愛らしく揺れる。
でもね、そんな大好きないちごがいるのに、どうしてそんなに熱心な視線を私に投げるんだい?
「なにさ、さっきからそんなに見て。」
「い、いや、べつに。」
「……見惚れちゃった?」
「ばっ!?んなことねぇよ!……確かに先輩は、その、美人、だけどよ。」
「ふふ、ありがと。」
真っ赤になって否定するのも可愛いよね。肌が白いから耳まで赤くなってるのがよく分かる。怒らせちゃったみたい。さっきまでの視線と同じくらいの私の気持ち、届く日は来るのかな。大事にしたいんだよ。ウチの中では1番の後輩で、元気でお転婆だけど沢山抱えるものがあって……その重いもの、私に半分持たせてくれたら楽になるのにね。
そのとき、漂う風の匂いが変わった気がした。この直後、川の方角から悲鳴と破裂音。
「……あの声、いちご!?」
「れもんちゃん、行こう。」
「「スティルペース・チャージ!」」
どこかで胸騒ぎがした。後輩の大切な人。もちろん私にとっても。2人で走り出した。
「フラウラ!」
そこに見たのは倒れてぐったりしたフラウラと、傍らに立っている……いつもとは違う姿のカロート。
「てめぇ!」
「……ふふっ♪」
れもんちゃん……いや、キトロンはさっきよりも赤くなって怒りを表してる。それを見て楽しそうに……まるで捕まえてご覧なさいと言うように笑ってその場から離れていくカロート。
いちごが危ない、落ち着かなきゃ、私が落ち着かないとあの子まで不安になっちゃう。
「いちご!いちごってば!!」
あぁ、だめだ、私、酷く動揺している。
「フラウラに……いちごに何してんだてめぇ!!」
キトロンがふわりと踊るようにその場を去ろうとするカロートに向かっていこうとする。だめ、貴女までいなくなったら私…!
なんだかキラリと周りが煌めいたような感覚になって気づいたらいちごを抱いたまま叫んでた。
「嫌、行かないで!キトロンまで居なくならないで!ひとりでどうにかしようとしないでよ!私を……1人にしないで!!」
世渡り上手、失格だね。わがまま言っちゃった。
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すろぉもぉしょん
ゆっくり変わってゆく
コンビニよって 弁当買って
部屋に帰って テレビを見てた
クイズの答え 妥協と知って
夢と答える ボケを続けて
熱が出ちゃって 薬を飲んで
布団潜って 目を閉じていた
君のマヌケな 顔が浮かんで
まだ死にたくない なんてのぼせながら
十代 ドヤ顔で悟った人
二十代 恥に気づいた人
三十代 身の丈知った人
そのどれもが全部 同じ人
汗をかいて 寝巻きを着替えたら
時計の針 午前零時
この曲は今 一分とちょっと
あなたは今 生まれて何年?
すろぉもぉしょん 幼少から老年まで
こんでぃしょん 躁鬱の乱高下で
粘着でも 不精でもない愛 ひとつ届けたいのに
こみゅにけぇしょん 狙いすぎは滑って
おぉでぃしょん 審美眼も老眼になって
恥の多い生涯なんて 珍しいもんじゃないし
大丈夫だよ
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#てぃーぷろ
#すろぉもぉしょん
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