寂しくはないと言い聞かせて
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今も昔も、大人のことは嫌いだ。他のみんなはただ成長したら大人になるってことしか知らないだろうけど、本当の大人がどんなものかなんて、こんな狭い世界ではわかりやしない。わたしたちをこんな箱庭のようなところに放り込んでおいて、自分たちのことはほとんど秘密にしておく、冷たくて愛のない人たち。突然この場所に置いていかれたあの日から、わたしはただ無気力な毎日を過ごしてきた。
でもきっと、今日からは違う。
昨日、小さな扉を見つけた。ここから外に出れれば、きっと家に帰れるのだろう。そして、どうしてわたしだけを置いていったのか、問い詰めるんだ。
そう期待して目線の上にあるドアノブに手をかけようとした時、目の前にひとまわり大きな影が覆いかぶさった。
「何してるの?」
驚いて振り返ると、優しい顔をした女の人が立っていた。かなり背が高いから、多分上級生っぽい人だろう。顔は怖くないのにどことなくものものしさがあって、声をかけられただけなのになんだか嫌な気持ちになった。
「こんなところに扉があるの、よく見つけられたね。でもここから外には出ないでほしいな」
「どうして出ちゃいけないの?」
「そういうルールがあるからよ」
いかにも大人な言いそうな文言のテンプレートを、優しいトーンを全く崩さずに話す。その姿が本当に大人みたいで、嫌な気持ちがもっと増した。
「どうしてそんなルールがあるの?」
なにかしらの反抗がしたくてそう言うと、彼女は少しきょとんとした。そんなことを聞かれたのは初めてだったからだろうか。
「……私たちはまだ子どもで。ここには子どもしか住んでいないけれど、外には大人たちがたくさんいるの。だから、私たちにはまだ危ないと思うの」
彼女はすぐに優しい顔に戻って、わたしのことをなだめるように言葉を紡いだ。
「じゃあ、大人になったら出れるの?」
「そうだと思う。でもね、私は出ない方がいいと思うんだ」
今まで自分のことを真っ直ぐに見つめてきた瞳が、初めて逸らされた。最後の方の言葉はとても小さな声で、なんだか頼りなく感じられた。
その言葉に従おうと思ったわけではないけど、なんだか反抗する気力もなくなってしまって、無言で背を向けてその場を後にした。彼女の言葉からは最初から最後まで息苦しさしか感じられなくて、やっぱり嫌いだと思った。
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lyrics
🥀少しだけ 揺れている
小さな声で 呟いた
🍀あなたにも 見えるでしょ
私の心が
🥀いつの間に通り過ぎていく
わかっていたけど
🍀繰り返す季節だけ
いつも側にいて欲しくて
胸に咲いた福寿草
🥀🍀ああ 変わっていく悲しみを
私はどう乗り越えただろう
🥀寂しくはないと言い聞かせて
戸惑っても追いていかれないように
🥀🍀大切なガラクタ達に
白い翼が生えていく
🍀何食わぬ顔で放り投げて
🥀🍀明日は一度きりじゃないから
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Cast
🥀蘭花 -Ranka- cv.桃ノ助
🍀美葉 -Miyo- cv.にな。
Instrument
→ https://piapro.jp/t/AK0A
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