第4話「仕事と後輩と事情」《💍🍮編》
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第4話「仕事と後輩と事情」《💍🍮編》
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4月某日。
レイナとミユは、子ども向け番組の撮影のために、スタジオに訪れていた。
隣には、Darkness▼Princess代表として見学に来たサナとマユノもいる。
今回、レイナとミユがゲスト出演するのは、昔から続いていて最近リニューアルした教育番組である。
レイナやミユが幼い頃からあった番組だが、最近視聴率は大幅に低下しており、一時期は番組の終了さえ噂された。
この危機的状況を脱するため、番組スタッフは番組自体のリニューアルを考案した。
もともとは先生とアナウンサーがいるだけのシンプルな番組だったが、それではあまり見てもらえないため、毎回子どもに人気な芸能人をゲストとして呼ぶことにしたのだ。
今日の撮影は、リニューアル後第一回_____つまり、レイナとミユは、リニューアル後初のゲスト芸能人として呼ばれたのである。
「今日が初めてだから、至らぬところがあるかもしれないけど、遠慮なく言ってね。よろしくお願いします!」
💍🍮「よろしくお願いします!」
「それで、あなたがたは見学の方々よね?この辺りは映ってしまうから、あっち側で見学していてね」
👠🩰「わかりました。よろしくお願いします!」
監督への挨拶を終え、先輩組と後輩組はそれぞれの場所に向かい、撮影開始を待った。
*
撮影が半分終わり、休憩をはさむことになると、サナとマユノがレイナとミユのもとに訪れた。
👠「さきほど、少し気になったのですが…、質問させていただいてもよろしいでしょうか?」
🍮「私…?もちろんいいよ」
🩰「わっわたし、レイナさんに聞きたいことがあって…!」
💍「いーよいーよ!そしたら向こうで話そっか!」
質問を受けたふたりはにこやかに対応し、それぞれ軽く場所を移動した。
👠「いきなり申し訳ございません…」
🍮「謝らなくて大丈夫だよ。いまは休憩時間なんだし」
👠「ですが、大事な休憩時間を…あ、いえ、時間をかけるほうが失礼ですわね。お時間いただき、ありがとうございます。さきほどディレクターさんが"わらって"と指示をしていたのですが、あれはそのままの意味ではないのでしょうか?」
サナがメモ帳を手にそう聞くと、ミユは少し苦笑した。
🍮「あ…あれね。初めて聞くと、特に笑うような場面でもないのになんで、とかって思うよね。サナちゃんの言う通り、そのままの意味ではない、いわゆる業界用語だよ。あれは"機材やセットなどを片付けてね"っていう意味なの」
👠「ああ…!だからさきほどスタッフの方々がセットを片付けていたのですね!」
ミユは、なるほど、とスッキリした表情になったサナを見て、テレビに出始めたばかりの頃のモモちゃんみたいだな、と懐かしくなりながら頷いた。
🍮「そういうこと。私たちにはそこまで関係がない用語かもしれないけど、覚えておくと便利だよ。…そうだ。業界用語を覚えようと思って作った自作ノートが家にあるんだけど、よかったら貸そっか?」
👠「いいのですか…!?ありがとうございます!」
🍮「私なんかのでよければだけど、みんなで回してもらっても大丈夫だから。明日ミアさんに渡すから、受け取ってね」
サナは胸の前で手を組むと、きらきらした瞳でミユを見つめた。
👠「本当に、ありがとうございます…!ぜひぜひお礼をさせてくださいませ」
🍮「えっ!?いや、いいよいいよ…!」
👠「いえ!そうはまいりません。家の者に美味しい土産を用意させますわ」
🍮「え、あ、ありがと…」
有無を言わせぬ覇気にあてられたミユは、困ったように笑った。
*
一方、レイナはマユノから質問を受けていた。
🩰「あのっ!レイナさん普段と変わらない様子で撮影をされていましたが…、緊張しない方法とか、あるんですか…?」
💍「へっ!?あ、アタシめちゃくちゃ緊張してたよ!ていうかいまもしてる!」
🩰「ええっ!?ぜ、全然そうは見えないです…」
💍「ホント?嬉しい!!」
マユノは混乱したようにレイナを見た。
撮影中の様子を見ていても、いま面と向かって話してみても、彼女から緊張は伝わってこない。
むしろ緊張知らずで、思いっきりやっているように見える。
💍「緊張してないように見えるってことは、隠すのが上手くなったってことかな!よかったあ。…あっ!緊張しない方法だよね!あたしのだと、できるだけ緊張しない方法になっちゃうけど……」
危うく脱線しかけた話題を引き戻し、レイナはにこっと笑った。
💍「とにかく、考え過ぎないことかな。失敗したらどうしよう、うまくできなくて迷惑かけちゃったらどうしようとか、そういう心配をし過ぎないこと!考えれば考えるほど緊張しちゃって、あたしは結構、失敗しやすくなっちゃうんだ。ごめんね、あんまり参考にならなくて…」
🩰「そんなことないです!わたし、かなりの心配性で、いまレイナさんが仰ったことを、ずっと考えては緊張していたんです。なので、とっても勉強になりました!!ありがとうございました!」
💍「それならよかった…!他にも何かあったら遠慮なく聞いてね!」
🩰「はいっ」
マユノは、スタッフに呼ばれ、ちょっとごめんねと言い残して退室したレイナの背中をじっと見つめ、
🩰「すごいなあ…」
と呟いた。
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