魔法
Muguetmarionette/Myuk
魔法
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その手を僕等は、離さずにそっと願う___。
4月18日に公開できなかったルベル・セレステの誕生日サウンドです♠️♥️✧︎*。
__夢を見たんだ。
君が永遠に自分のことを忘れてしまう夢を__。
それでも君の隣にいれるのなら構わないと思った。
ずっと、目が覚めなくてもいい。
そう、思っていたはずなのに____。
冷たい暗い部屋の中で膝を抱え込む少年がいる。
その少年は深く目を伏せる。
『もう、お兄ちゃんってばそんなに泣かないでよ。』
「…俺の事を置いてまたどこかに行っちゃうのか?」
『…ねえお兄ちゃん。私にそんなに固執して欲しくないの。お兄ちゃんの世界は私だけじゃないんだよ。』
「俺には……お前しか……」
『……お兄ちゃん、目を覚まして。お兄ちゃんが見てるのは私じゃない。私はもう、お兄ちゃんには会えないの。そうやって私のことを大事に思ってくれるのは嬉しいよ。でも私のせいで自分に呪いをかけないで欲しいの。お兄ちゃんが私を忘れたくないのは分かる、でも……』
「僕には舞陽(まひる)しかいないんだ…!」
ルベルの赤黒い瞳が滲むように青色に染まり、金色に輝く髪の色がゆっくりと暗くなる。
淡い光を灯した瞳は、月明かりに照らされた湖のようだ。
きっとこれが、本来の彼の姿なのだろう。
「舞陽がいなかったらなんの意味もない。父さんも母さんも舞陽にしか興味が無い。必要なのは世界を照らす太陽で、光がなきゃ輝けない星じゃない…」
『何その比喩…お兄ちゃんのそういうところ本当にめんどくさい…』
舞陽は呆れて小さなため息をつく。
「う……舞陽までそんなこと言うのか……」
『お兄ちゃんがいなくなって、おじいちゃんはどう思ってるだろうね。』
「……覚えてないよ、僕のことなんて…」
『……ほんと、どうしてそんなにネガティブなの?』
お揃いの瞳が暖かな光を帯びてこちらを見つめている。
安心する、懐かしい温度___。
「だって、僕なんかが…」
『可哀想だなぁ、彗(すい)くん。私もお兄ちゃんもいなくなっちゃってさぁ。親友ほっとくなんて、最低だねお兄ちゃん。』
「それは……」
『確かにお兄ちゃんは危ない状態だったからカトレアが助けてくれたとは思うよ。でも、何時までセレステ<いもうと>に固執して本当の彼女を見ようとしないの?』
「本当の、セレステ……?」
『お兄ちゃんのことを大切に思ってたのは私や彗くんだけじゃないんだよ』
舞陽は兄の頬を両手で包み、額を重ねる。
『思い出して舞宙(まひろ)。セレステは私じゃない。妹じゃない。あなたを助けようとした……。』
「……まひる……?」
「も〜ルベルったら、早く起きてよね!」
「……ここは…」
「カトレアさまに頼まれた買い物に来る途中で私が見つけた場所だよ。ポカポカしてて眠くなっちゃうのは分かるけど、あんまり長居したら怒られちゃうんだから!いつもこういうこと言うのはルベルなのに〜」
珍しく頬を膨らませて拗ねているセレステが、なんだか面白くて笑ってしまった。
はっきりと覚えていないけど今見た夢は、きっと気のせいかなにかだろう。
セレステの代わりなんてこの世界には誰もいない。
穏やかな時間が流れる花畑は、まるで別世界のようだった。
セレステは花畑からいくつか花を摘み小さなブーケを作る。
「カトレアさまへのお土産にしたら喜んでくれるかなぁ?」
正直カトレアはもっと高貴な花を好むだろうけれど、セレステからの贈り物なら快く受け取るだろう。
…あの人はセレステには何故かとても甘い。
「ルベルにもあげるね!」
「ぼ、僕に花は……」
ルベルの言葉を聞かずにセレステはルベルの髪に花を添える。
「ほらこのお花、ルベルのチェーンについてるお花と同じだよ!」
「ほんとだ……この青い花はセレステの髪留めと同じだね」
「えへへ!これはね、私にとってす〜っごく大切な人がくれたんだ。誰だったのかは思い出せないけど、とっても大切なものなの。ルベルのお花もきっと同じでしょう?」
「これは……」
“お前のものだ”と言おうとして言葉が出なくなった。
確かにこれは妹のものだったはずだ。
なのに何故だろう。セレステのものではない気がする。
セレステでは無い妹……?それは一体……
『思い出して“ ”セレステは私じゃない___』
誰かの声が頭の中に響き、鈍い痛みを伴う。
「ルベル?どうしたの?」
「頭が……割れる……」
「は、早く帰らないと!!歩ける?」
「うん……大丈夫___」
「ルベル、目が……」
「え…?」
セレステがルベルの左目に手を伸ばし、信じられないと光の無い瞳を見開く。
「青色になってる」
「……え…?」
ハッとして目を開けると、そこには見なれた天井が広がっていた。
どこからどこまでが夢か分からず顔を顰めると、ふと握られている手に気づく。
隣でセレステが幸せそうに眠っている。
「……セレステの他に妹がいるなんて、気のせいだよな。」
彼女を疑ってしまった自分に呆れながらため息を着きそっと起き上がると、セレステのポケットからシロツメクサが零れた。
「……花?」
_____________
そばにいられるのならそれでいいと思っていた。
だけど“ルベル”はまるで私が知らない存在だった。
ルベルが“私”を舞陽と比較するように、気づかないうちに私もルベルと舞宙を比べて勝手に悲しんでいたのかもしれない。
お願い舞宙、一瞬だけでもいいの
『私を思い出して_____』
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𝐿𝑦𝑟𝑖𝑐
♠️君が一つ願えば 月が影を落とした
魔法みたいな夜はきっと解けてしまう
♥️声は透き通るよう 風が夜を知らせた
蒼い世界の全てが おとぎの中に眠る
♠️君は微睡みの中 閉じた瞼を開いた
僕が思うよりもずっと霞んでしまうな
⏳この声が届くなら
♠️答えなどないそれでも居たいな
⏳物語を終わらせたくはないさ
⏳この夜を越えてゆけ
♥️あなたとなら言葉はいらないさ
⏳だから 今は温もりを確かめあいたくて
♥️どうか覚めない夢をみさせてよ
⏳その手を僕等は 離さずに
そっと願う
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ー𝐶𝑎𝑠𝑡ー
♠️ルベル・ライビーズ
♥️セレステ・ライビーズ/𝑪𝒉𝒐𝒓𝒖𝒔
(cv.羽月璃蕾)
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𝑺𝒑𝒆𝒄𝒊𝒂𝒍𝑻𝒉𝒂𝒏𝒌𝒔__
素敵な伴奏はこちら𓆸⋆*
https://nana-music.com/sounds/05d72a5a
ありがとうございました𑁍𓏸𓈒
𝒊𝒍𝒍𝒖𝒔𝒕𝒓𝒂𝒕𝒊𝒐𝒏:つきしろ やよい
本サウンドを聞いて下さり、ここまで目を通して下さり誠にありがとうございます。
本企画「12時過ぎの魔法使い」及び「シャルモントナイトメア」へのギフト機能の使用は禁止とさせていただきます。
ご理解の程よろしくお願い致します。
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#ルベルライビーズ聖誕祭2023
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