愛、飢えを【声劇台本】
「もの」『みかん』/ 台本:珠葵
愛、飢えを【声劇台本】
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愛が欲しい。
素敵な台本、みかん様のセリフお借りしました。
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『メダカって、死んだら沈むんだね。』
「え?」
飼っていたメダカが死んだ。
『他の魚は死んだら浮いてくるでしょう。』
君を呼んだのは、このメダカたちを可愛がってくれていたから。
『どうしてかな。』
「さあ。知らないよ。」
『なんか冷たいね。悲しくないの?家族が死んじゃって。』
「家族ってほどじゃない。」
『ひっど。』
「元々飼う気なんてなかったし。押し付けられたっていうか。」
『にしては、長い間元気だったよね。』
「メダカは飼いやすいんだよ。」
『ひと冬越えたし。』
「ひと冬くらい…あ。」
『なに?』
「メダカだけじゃなくて、他の魚も、餓死や老衰が原因だったら沈むらしいよ。」
『へえ。魚って死ぬと浮くもんだと思ってた。』
「わかる。」
『てか、調べてくれたんだ。』
「うん、なんとなく気になって。」
『でもエサちゃんとあげてたよね?』
「うん。でも水温とか環境の変化とかで弱ると、エサも食べられなくなるみたい。」
『そっかぁ…お腹すいて苦しかっただろうね。』
「悪いことしちゃったかな。」
『ううん。君のところに来て、幸せだったと思うよ。』
「…そうかな。」
『そうだよ。』
「なら、いいんだけど。」
『…飢えて死んだら、沈むんだね。』
君が意味深に呟いて、
『どうせ死ぬなら、綺麗に浮かびたい。』
酷く寂しそうな顔で、笑う。
『愛に飢えたら人は、』
「『どんな最期を迎えるのかな。』」
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