千の夜をこえて【ユニット用】
AquaTimez【covered.ルリ(ダイオプサイト)】
千の夜をこえて【ユニット用】
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【episode of ルリ】
俺には昔、隣に住んでた幼馴染みがいた。同い年の女で、子供の頃からいつも一緒だった。明るくて、優しくて、しつこく「遊ぼう!!」ってせがんできて、それが、不思議と心地よかった。
高校からは別になり、昔よりは絡まなくなった。隣の家なんだからいつでも会えるだろう。そんなものだろうと思っていた。
けど……
あいつは……
突然、この世界から、消えてしまった……
両親から聞いた話は、あいつが事故で、亡くなった。ということだった。
「は……?嘘だろ……?」
その言葉しか出てこなかった。あいつの遺体を見る前までは。
葬儀には参加した。
けど、何故か涙が出なかった。
あいつがいなくなってから、俺は部屋に引きこもるようになった。何もやる気にならなくなったからだ。
引きこもってから数ヶ月が過ぎたある夜。自室のテレビをつけた際、懐かしのバラード曲と題した歌番組をやっていた。その際、ある曲が流れてきた。
「千の夜をこえて、か……懐かしいな……」
俺はその曲を聴き入っていた。そして初めてまじまじと歌詞を見た。
その時だった。
無意識に、俺は、泣いていた。
そして、あることに、やっと気付いた。
「そうか……俺は、ずっと……
あいつのこと……“好き”だったんだ……」
あいつが死んでから、初めて気付いたこの気持ち……
【好きな人には好きって伝えるんだ】
もう、俺には、それが出来ない……
遅過ぎたんだ……その気持ちを、理解したのが……
俺はその気持ちに気付いてからずっと、1人部屋の中で、泣いていた。
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