第4話「乗り越えた先で」🐈🐕編
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第4話「乗り越えた先で」🐈🐕編
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No side
リカとミユがW主演を務めるドラマが始まって少し。
モモとリリは、不安で落ち着かない気持ちのまま、一般完成披露試写会の会場となっている映画館に訪れていた。
_____ふたりに舞い込んだ仕事は、"W主演映画"。
有名な役者が多く出演し、監督も若手ながら面白い作品をつくる天才監督であることで有名であるため、既に多くの映画館で上映されることが決まっている。
天才監督の新作ということもあり世間的にも注目度は高く、期待に胸を膨らませる者、アイドルの主演に難色を示している者など、その反応はさまざまだ。
彼女たちが主演を務める映画のテーマは、"航海"。
実際に旅に出ることはできない学生であるふたりが、できる範囲で新しいことに挑戦し、成長していくという青春映画である。
ふたりのフレッシュな感じがぴったりだったから____監督はそう言ってモモとリリを主演に指名したのだという。
その言葉通り、彼女たちが演じる少女ふたりは、当て書きをしたのではないかと疑ってしまうほどふたりにぴったりだった。
そのためか、モモもリリも自然体のまま演じることができ、本人たちだけでなく共演者や製作陣も納得のいく作品が出来上がったのだった。
…とはいっても、映画を観た後の人々の反応が怖くないというわけではない。
むしろいつも緊張しないと豪語しているモモでさえ、今日ばかりは緊張の面持ちをしていた。
🐈「今日来てくれたみなさんが、初めてのお客さん…うう…怖い…」
🐕「微妙な反応されたらどうしよ…」
控室で震えながら小声で不安を吐露するふたりに、彼女たちと一緒に登壇する共演者たちが声をかける。
「あら、緊張してるの?私たちもいるんだから、安心しなさい」
「なんかあったらフォローするからよ!」
あたたかい共演者たちの言葉に、ふたりの身体の震えが徐々におさまっていく。
「大丈夫、俺たちの最高の作品を信じろ」
監督の一言がさらに緊張をほぐし、やっとふたりに笑顔が戻った。
演技に真摯に取り組み、積極的に学ぶ姿勢を見せたモモとリリは、すっかり共演者やスタッフ、監督たちに気に入られ可愛がられていた。
ふたりは周囲の優しさに思わず泣きそうになりながら、お礼を口にした。
*
🐈🐕「お、終わったぁぁ…!!!」
控室に戻るなり同時につぶやいたふたりに、演者たちから笑いが起きる。
「モモちゃんとリリちゃん、あんまり似てないなって思うことが多かったけど、ハモってるところを目の当たりにすると双子って感じがするね」
「確かに。…ふたりとも、お疲れ様」
「ちゃんとできてたよー!」
🐈🐕「ありがとうございます…!!」
またもや同時に言って頭を下げる。
____一般完成披露試写会に訪れた客の反応は、悪いものではなかった…否、むしろかなりよかったといえるだろう。
感動ポイントでは少し嗚咽を漏らしている客がいて、笑いポイントでは何人かがくすくすと笑い声をあげていた。
上映終了後、大きな拍手が鳴り響き、控室でその様子を見ていた演者たちは、声を出さずに喜びを分かち合った。
その後、しばらくしてからスタッフに案内されて登壇すると、さらに大きな拍手が巻き起こった。
モモとリリはそれを見てようやく一安心し、トークに集中することができたのであった。
「みんなすごく楽しそうに観てくれてよかったぁ」
「僕も安心しました」
「まあ、俺たちの作品だからな?」
不敵に笑う監督に、演者たちから歓声があがる。
監督は自分の作品に対してかなりの自信家だが、その態度に納得せざるをえないくらい、映画制作に妥協を許さない人物だった。
台本や内容が変わることもしょっちゅうで、なかにはついていけない!と言う演者もいる。
実際今回の映画の現場でも、そう言って監督と揉めている演者がいた。
しかし、監督は優しく義理堅く、この映画は全員で協力しあってつくりあげるものだと考える人物であった。
監督に免じて____ふたりはこの言葉を現場で何度聞いたか分からない。
だが、多くの変更があったからこそ、作品が以前よりもよくなっていっていたのは確かだった。
最初は嫌がっていた演者たちも、監督の"最高の作品をつくる"という熱意に押され、最終的には変更を提案していたりもした。
そんな監督を、モモとリリは慕い、尊敬していた。
🐈「監督!改めて私とリリを選んでくださって、ありがとうございました!」
🐕「ありがとうございました!」
「こちらこそ、全力を尽くして演じてくれてありがとう。おかげで最高の作品が出来上がった!ぜひ今度の打ち上げにも顔を出してくれよ」
🐈🐕「はい!みなさん、ありがとうございました!」
「こちらこそ!!」
「ありがとねー!」
演者たちの声にもう一度頭を下げて、ふたりはその場を後にした。
*
久々に事務所に集まったTwinkler+Twinsは、マネージャーであるミアの到着を待っていた。
🔖「お待たせしました!」
しばらくして現れたミアは、急いでメンバーたちに資料を配布した。
🔖「みなさんこの後も仕事が詰まっていますから、端的にお話ししますね。」
もらった資料は、主催ライブに関するものであった。
彼女たちが想像以上に忙しくなってしまったため、一度主催ライブの開催を諦めかけたことがあった。
しかし、噂でいろいろなところに流れてしまっている以上、やらないという選択はできそうになかった。
そこで急遽プロデューサーや見習いマネージャーたちも加勢して、主催ライブ準備を手伝ってもらうことになっていた。
どうやらその準備がある程度整い、Twinkler+Twinsメンバーたちにどの人を呼びたいかなどの質問をしたくて集められたようだ。
メンバーたちは時間の許す限り提案と話し合いをし、解散した。
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