台本「死ぬには」
台本 Mt.Fuji
台本「死ぬには」
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「死ぬには…いい日だ」
男は空を見上げ、少し笑って呟く。
「青い空、白い雲、鳥の歌声に、頬を撫でる風…。これ以上、死ぬのに相応しい日があろうか」
男は癌だった。一年半前、不調に気が付いた時には既に遅く、手の施しようが無かった。諦めきれず手を尽くすも、病は全身を蝕むばかり。
医者曰く、生きているのが不思議な程だと。
日毎弱る身体に限界が近づいていると悟り、動けなくなる前にと医者に頼み込み、少しの間だけ誰もいない我が家へと戻った。
身辺整理を終えた男がベランダに腰掛ける。部屋で埃を被っていた煙草に火を点けると、ふと庭の隅に揺れる菊の花が目に入る。とんだ皮肉だなと軽く笑い、呟いた。
「死ぬには…いい日だ…」
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現代よりも昔の、あらゆる病の致死率の高かった時代のお話
何故かずっと前から頭の中にあった言葉を不細工な形にしただけの物
多少の言い回しの変更はお好みで
BGM…「聞こえますか BGM ピアノアレンジ」 うー様
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