-聖少女-

貴方

。 どこまでも遠くへ行きたかった。 お父様に言われていたとおりの虚しいイキモノだったから、 白紙のわたしを埋めるための色が必要だった。 それは痛みだって構わない。 街を泳ぐための足が欲しかった。 灰色に染った隙間の世界を這いずって、 悪事にも手を染めた。 人間とはなにかを理解するために、 わたしは赤黒い知識で手を汚した。 名の売れた絵描きの絵画を眺めるように、 人々の往来を見た。 なにかを賛美する悲鳴 なにかを否定する怒声 なにかから逃げる足音 なにかへと求める奇声 重なり合った不純物は人間から離れて泳ぐ魚のようだった。 水槽の中でしか生きることが出来ない。 なんて苦しそうで憐れなのだろうか。 偽の記憶が筆をとった手記を、 捨てられない感情で満たすあなたのことが好きだった。 だけどそれは過去の話。 死んでしまった昨日のわたし。 ────+++++++++++++++++++++++++++──── 削除される可能性は十分存在する。 具合の悪い機械のような 喧伝せず来るはずのない待ち人を迎えよう 個人的に好きな小説から。 前の台本⤵︎ ⤵︎ 次の台本⤵︎ ⤵︎ unknown #コラボ募集 #朗読者募集 #オリジナル #拍手返します #朗読 #台本 #無力な僕 #レーニャ