神隠し
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神隠し
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drama …
拝啓 探偵さま。
今月十日、下校時の目撃を最後におかっぱ頭の女の子がいなくなってしまいました。
我々も探していますが、見つかりません。どうかお力をお貸しください。
とある少年探偵への手紙である。
「これは神隠しだ」
手紙の内容を一通り読み終えれば第一声にこれだ。
神隠し、そんな訳あるかと言いたい所だが、この街ではそう言った類いの出来事が稀に起きるのだ。だから違うと断定出来ず…
「そうかもしれないけど、他の可能性だってあるでしょ?」
「いいや、これは神隠しに違いない。被害者はこの子だけじゃないんだぞ」
何通もの手紙を手に気だるそう言った。しかしその口調には確信に近い強い意志を感じる。
何故なら彼は“妖怪少年探偵”だから。
「はぁ、わかったよ。それじゃあ早速街で手掛かりでも探そうよ」
妖怪少年探偵團一行は街のあちこちを歩き回った。目撃者の証言を元に何ヶ所かに絞り込むことには成功したが、未だ現場はわからずじまい。
「このうちの何処かで神隠しが行われてると思うんだ」
「…いや。神隠しをする妖怪が身軽に動き回れるのなら、この場所全てで神隠しが起こったのかもしれない」
地図に丸を付けていきながら口と脳を忙しなく回らせる。
「なら被害者の子達はこのどこかにいるか、または違うところ…例えばこの場所の丁度真ん中、中間地点にいるかもしれないね」
「俺たちがここ回った時にそういう違和感感じなかったから、他の場所だと思う」
「どちらにせよ、それらを踏まえて街をもう一周しよう」
地図を軽く畳んで片手に持っては、また歩みを進める一行。その様子を1匹の猫が遠くから眺めていた。
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[cast]
探偵社 社長 きのだ
社員 柚樹
社員 しきかん。
依頼人 ななべ
#時代を超えし物語
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