♟️ タイムマシン
💭瑞乃恋良(cv:海月∞)🍭秦野梨夢(cv:李里葉)
♟️ タイムマシン
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〝 イヤホンで閉じ込めたよ 〟
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「恋良ちゃん…!あ、あの…良かったら、日曜日にお洋服を見に行きませんかっ…?」
「…洋服?」
時計の針が午後16時を指す、いつも通りの教室で。補習がひと段落着いた所で梨夢は突然にして、そんな言葉を私に掛けてきた。
【番外編 No05 : 友達。】
「どうしてまた急に…」
その言葉を聞いて真っ先に思い浮かんだ言葉はこれだった。思ったことをそのままに口に出してみれば、梨夢はええと…と暫く言葉を濁らせた後、徐に小さな唇を尖らせては虫の鳴くような声で
「あの…こ、ここだけの話ですよっ?」
なんて言ってきた。
梨夢とこういった風に話すのは私にとってはあまり珍しくない事柄だった。お互いがお互いに秘密を話している仲だったからこそ、彼女からこんな風に内緒事をこっそり話される事も幾度かあった。
…それ故に。
(ああ…真瑠の話しか。)
なんて、そんな事はすぐにわかった。
正直その話にそこまで期待していた訳では無い。本人からしたら大した事なんだろうが、私からしたら…なんて話なんだろうと勝手に想像していた。
だから、私も簡単に頷いて見せて、彼女の話を催促する。
すると彼女は周りをチラチラと気にしながら、徐々に私の耳元へと口を近づけて。そうして、ボソッ、と。
「梨夢、真瑠さんの配信にお邪魔する事になりました…。」
とか、そんな言葉を呟いた。
(…え?)
待って、それって。
「…脈アリ?」
「そ、そう思いますよね〜っ?!」
私の反応に、梨夢は顔をほんのりと赤らめ声のトーンを高くして、大きく同調して見せた。…真瑠の配信に«リアル»でコラボする…なんて。そんな話、他のメンバーから一回だって聞いた事なかった。よく真瑠の近くに置かれている凛音さんでさえそんな誘いを受けた、という話は聞かない。
…それは、梨夢の恋に大きな一歩を踏み出すきっかけとなる出来事だった。
今まで特別人を応援したい…と思うことは更々なかった。
…けれど。梨夢のこういう話は応援したくなるし、彼女から嬉しい報告を聞けば、私も自分の事のように嬉しくなった…気がした。
だから、素直にこう言う。
「良かった、ね。梨夢」
そうすれば、彼女は嬉しそうに微笑んで
「はいっ…!ありがとうございますっ…!」
なんて言った。
…正直、着いていくか悩んでいた。せっかくの長期休日をぐっすりと眠って過ごしたい…と願っていた。だから、補習の時間さえも懲りる事無く先生の前で眠った。そんな自業自得で今ここに、二人だけの空間が存在する。
勉強とか、洋服とか、そんな物よりも大事にしたいものがあった。
…でも、それでも
「…洋服、か。なら…選びに行こうか。」
なんでかわからないけど、気がつけばそうやって言葉を続けていて。
(…あれ?)
なんて思った頃にはもう遅く、梨夢は爛々と目を輝かせながら
「…!ほんとですか…!」
なんて聞いてきた。…まぁ、今から訂正すれば遅くない…けど。正直断る気にはなれなくって。
「…うんー…気が向いたし。」
なんて答えてしまった。それを聞いた梨夢はえへへ、なんてはにかんではやったぁ…!と嬉しそうに言っていた。
(…自分の気持ちよりも他の人の気持ちを尊重したくなって、他人の幸せを自分の事のように喜んで…なんて、今まで無かった…かも。)
…こういう関係のことを、なんて言うんだったか。
私はそれを知らない。
「じゃあ、日曜の10時!駅前集合ということで…!」
「…うん、わかった。」
まぁ、でも。
彼女が自分を害する存在ではない、というのは私にもわかった。
だから、私は願う。
(…ずっと、こんな何でもない日常が続いたらいいのに。)
そうしたら、«貴方»を待つ時間も。苦しい物ではなくなると思うから。
ーーーーーー
「あ、あの…!奏音ちゃん、美穂ちゃん…!」
「今度…その、一緒に、お洋服を選びに行きませんかっ…?」
『…え…。あー……はは、ごめん。暫く私たち部活が忙しくって…』
『うんー、ほら、大会のスタメン選ばれちゃったし…最近朝練とか土日練とかもあるしキツイって言うかー…』
「あっ…そ、う…でした、ね。ご、ごめんなさい…!」
『いやいや、良いんだよーまたいつか、ね』
「はい…ぶ、部活、頑張ってください…!」
…いつからだったかな。
入学したての頃はずーっと一緒にいて、…休み時間もギリギリまでお話して、一緒にお弁当を食べて、部活が忙しくたってみんなで空いた時間を縫って遊びにいって、お洋服を選んで、ご飯を食べて。
ずっと、ずっと…仲良し、だったのに。
いつの間にか…梨夢の席は、別の誰かに取られてしまっていたみたいで。
今まで通りに休み時間にそちらへと寄って話していても、一緒にお弁当を食べていても、遊びに行っても…みんなが、梨夢に向けた目線は、今までみたいな«お友達»に向ける目なんかじゃなく…ただ、«邪魔だ»、なんて。そんな事を言いたげな瞳だった。
そうして、梨夢はこうなる度に、いつもこう思う。
(…また、)
飽きられちゃったんだ、なんて。
…こうなるのも、もう何度目だったか。
小学、中学、そして高校…数えたってキリが無かった。
梨夢には、面白みが無い。他の子達には勉強が出来る、オシャレなお店を知ってる、センスがいい、歌が上手い、ギャグセンスがある…沢山の個性を持ってるのに。梨夢には…何か、飛び抜けた物がないから。
…だから、梨夢に変わる何かが現れたら、皆すぐにその人の所へと行ってしまって。
気が付いたら、一人ぼっちで。
…神様はとことん梨夢の事が嫌いなのだろうと思う。こんな日々を続けるのは、正直もう懲り懲りだった。何もないから人が離れて、じゃあ何も無いならと努力してみてもどこまでもどこまでも平凡なままで。
梨夢の日常には、ただ…自分と、憧れる«貴方»の配信と。その二つしか存在しなかった。
(…こんな事なら、いっそ…)
なんて思っていた、そんな時に。
「秦野さん、ちょっと_______」
「良かったら、なんだけど…隣のクラスの、瑞乃恋良ちゃんの勉強を見てあげて欲しいの」
「…えっ…?」
_____先生に、声を掛けて貰った。
ーーーーー
「あっ…恋良ちゃん、…」
(寝ちゃった…まぁ、今日は頑張ってましたもんね…)
そこからはずっと、放課後は恋良ちゃんと一緒にいる毎日を過ごしている。
(…何だか、お洋服を選びに行こう、なんて誘ったのは久しぶり…かも。)
…前にあの子たちを誘った時以来、梨夢は自分に自身を持てなくなってしまって、誰もお誘いをしていなかったし、誘ったところで…なんて、思ってしまっていた。
でも…恋良ちゃんは。そんな梨夢の不安を打ち消してくれた。…秘密を話したって、どれだけ面倒くさい相談をしたって、恋良ちゃんは嫌な顔一つせず聞いてくれて、一緒にいてくれて…。
…勿論、赤点回避のお礼…というだけに過ぎないのかもしれないけれど、それでも…梨夢にとっては、それがどこまでも嬉しかった。
(…梨夢には、飛び抜けた才がない。)
勉強もそこまで出来ないし、運動もあまり出来ない。頭が切れる方でもない、歌も絵も…何もかも、出来ない。
…でも、それでも。
(恋良ちゃんがもしも頼ってくれた。
その時は…)
精一杯、力になりたいって思うんです。
「…恋良ちゃん…これからも、」
よろしくね、なんて。
こんな関係に一言で名前を付けるとしたら、きっと__________。
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曲名 / タイムマシン
本家 / 1640mP様
伴奏 / さばと 様
サムネイルイラスト / 李里葉 様
歌 / 💭瑞乃 恋良【CV 海月∞】
https://nana-music.com/users/1819852
🍭秦野 梨夢【CV 李里葉】
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『歌詞』
🍭得意げに呟いた 心配ないからと
人の少ないホームで ヘタクソに強がった
💭唐突に鳴り響く 僕を呼ぶ別れの音
見慣れたその泣き顔も しばらくは見れないね
🍭声が遮られていく
💭身振り手振りで伝える
♟️「いってらっしゃい」のサイン
♟️少しずつ小さくなってく 全部置いたまま
💭悲しくなんかないさと
♟️イヤホンで閉じ込めたよ
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『タグ』
#ADOLESCENCE ♟️
#瑞乃恋良 💭
#秦野梨夢 🍭
#フォロー返します
#違法音源じゃないです
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