人魚の墓
1.
潮の匂いがした。
気がつくと、砂漠の真ん中に寝っ転がって空を見上げていた。
ぼんやりと、遠くに死の気配。
不思議な感覚だ。
私はつい先程まで本を読んでいたはず。
一人暮らしの自分の部屋で。
のめり込んで、夢中で文字を追っていた。
あれ、なぜだか内容が思い出せない。
焼けるような暑さが脳を停止させている。
暑い。 眩しい。
喉が渇く。 苦しい。
足音がして、急に視界が陰る。
あぁ、あの子が来た。
こんな姿、見せたくないのに。
自分じゃない誰かが、泣いている。
時間がない。
私はきっともうすぐ死んでしまう。
だからせめて、最後は、
あの子に食べてほしい。
なんて。
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歌詞
ダーリン、ダーリン、私を愛して。
もっと、もっと、壊れるくらい。
ダーリン、ダーリン、全然足りない。
ねえもう、いっそ。私を食べて?
ねえ、お腹がすいたの。
欲しくて欲しくて、仕方ないの。
ねえ頂戴?頂戴?甘くてむせちゃうくらいの蜜。
ねえ、楽しいことしたいの。
貴方も私と「おんなじ」でしょ?
くすぐって、暴いて、今だけ。
魔法が解ける前に。
ねえ、ダメってこと分かっているはずなのに。
ねえ、たまらなく貴方が欲しい。
ダーリン、ダーリン、私を見つめて。
もっと、もっと、溢れるくらい。
ダーリン、ダーリン、まだダメ…やめないで。
もっと、ずっと、私を味わって?
Illust:フクダ(https://nana-music.com/users/10226832)
#人魚の墓 #落椿の音
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