憧憬【幕間】 🎪道化番外🎪
𝑵𝒂𝒈𝒊𝒋𝒚𝒐×師匠
憧憬【幕間】 🎪道化番外🎪
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【💄𝑵𝒂𝒈𝒊𝒋𝒚𝒐】
グループ遍歴
1期🔑
2期🎗
3期🗡
https://nana-music.com/users/7953424
【🍊師匠】
グループ遍歴
2期🔑
3期🎗
https://nana-music.com/users/7000438
*0章*
「さいっこうに素敵なパフォーマンスでした!!」
奴隷として売り飛ばされたみかんは、それなりに裕福なお屋敷でメイドとして働いていた。人としての価値を底辺にまで落とされ、虐げられることに慣れきっていたある日、取引先に見世物として連れて行かれたみかんは凪と出会う。凪は、取引先の富豪の娘だった。
一目見てみかんを気に入った凪は、度々連れ出してはこっそり質の良いものを分け与えた。化粧を教えたり、手持ちの洋服を着せてみたりと、みかんを本当の妹のように可愛がった。大きな契約が纏まるまでの間、凪とみかんは何度も顔を合わせ、普通の少女のように笑いあった。
ずっと続いて欲しいと思っていた日々が片手では数えられなくなった時、突然凪は姿を消した。取引先である凪の両親は、淡々と事実を告げながらも怒りと呆れを隠しきれていない。よく分からない相槌を打つ主人を他所に、愕然とするみかんは、お屋敷に戻っても何も手につかなくなってしまった。失敗ばかりして主人に酷く当たられてしまう日々に、心が荒んでいく。
凪がいなくなって半年が経とうとしていた頃、とうとう居ても立ってもいられなくなり、みかんはお屋敷から飛び出した。
何の手掛かりも見つからぬまま陽が落ちるのを眺めてるいると、ポスター大の紙が目の前を横切った。風で舞って来たそれを手に取ると、そこに小さく凪が写っていた。ハッとして紙をよく見ると、道化の華 circus団の文字。
息を切らせてサーカス団に乗り込んだみかんは、団長に詰め寄り、凪に会わせて欲しいと懇願する。お屋敷を飛び出してから、どんな生活をしていたのだろうか。きちんと食事を摂っているのか、元気にしているのか。ずっと心配で堪らなかった。みかんも、凪のことを姉のように思っていたからだ。
団長は少し考え、唐突に「公演を観るといい」と勧めてきた。凪も出ると聞いたみかんが、戸惑いながらも客席に腰を下ろすと、ステージがスポットライトで照らされた。煌びやかな衣装に身を包んだパフォーマーが次々と現れ、目にも鮮やかな大技を決めていく。見たことも無い華やかな世界に、みかんは、本当にここに凪がいるとは到底思えなかった。
公演を楽しみながら暫く目を走らせていたが、凪は一向に出てこないままカーテンコールを迎えた。一体何なんだと団長を睨めつけるも、目が合った団長は何を考えているのか分からない笑みでステージを指差すばかり。憤りを覚えながら視線を戻すと、パァンッ!と大きな音が響いた。
肩を揺らしてステージを見ると、袖からパフォーマーが飛び出して来た。その中に、探していた凪もいた。優しく、穏やかで、品があったあの頃の凪とは、どこもかしこも違うように見えた。みかんの知らない凪が、そこにはいたのだ。それがどうしようもなく悲しくて、悔しくて、でも、とても嬉しかった。どこか窮屈そうに見えたあの頃の凪は、もういない。ステージを駆け回る凪は、自由そのものだった。あぁ、私も、私もあそこに行きたい。あんな風になりたい。みかんは思わず立ち上がって、会場に響き渡るくらいの拍手をしていた。それが呼び水になったかのように、あちこちから歓声が湧き上がる。公演が終わったら、凪に会いに行こう。どうして居なくなってしまったのか、元気でやっていたのか、聞きたいことは沢山あるけれど、まずは_____________。
𝑵𝒂𝒈𝒊𝒋𝒚𝒐_✍
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*幕間 その後*
ひらりと手を振り、髪を靡かせながら優雅に去っていく凪さん。いつの間にあなたはそんな遠くに行ってしまったのだろう。
私は、自分にかけてくれた凪さんの言葉を噛みしめながら楽屋に戻ることにする。走ってきたときに感じた不安はとうになくなり、はやくはやくと心臓が急かすようなワクワクを感じる。
「うっしゃ!やったるか!!!!!」
もう縛られない。そのためにここに来た。
やっとつかんだこの場所で
誰にも忘れられない公演を!
師匠🍊_✍
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声劇脚本 : 𝑵𝒂𝒈𝒊𝒋𝒚𝒐
イラスト : 師匠
BGM :ありすてゃ❕様
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