第4話「垣間見える真実」💍🐕編
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第4話「垣間見える真実」💍🐕編
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No side
「カット!レイナちゃんもリリちゃんも素敵だね♪次のシーン行ってみよっか!」
💍🐕「はい!」
某月某日。
レイナとリリは、ダブル主演を務める恋愛学園ドラマの撮影に来ていた。
演技経験はMV撮影の時くらいで、自信があるとはっきり言えるほどの経験は積んでいなかったがため、ふたりはこの仕事が決まってから演技の勉強をはじめ、着実に身につけてきていた。
その結果、監督の満足のいく演技ができているようで、テイク数は初心者にしてはかなり少ないほうだった。
「休憩入ります!」
撮影は一旦停止し、休憩時間となった。
それまで静まり返っていた現場がざわざわと騒めきだす。
💍「リリ、お疲れ様!」
🐕「お疲れ様、レイナちゃん…」
💍「あれ、リリもしかして疲れてる?」
🐕「ううん。そうじゃなくて」
「あれっコネで主演張ってるふたりじゃん!」
💍🐕「!」
リリがレイナにある悩みを打ち明けようとした瞬間、外野によって阻止された。
「こわぁい!そんな顔しないでよ、撮って上げちゃうぞー?」
外野____新人女優のノノハはそう言うと携帯を取り出し、ふたりの前にかざした。
💍「…何の用ですか?」
本当に撮られて上げられたら審査どころではないので、ふたりは表情を緩める。
「だぁから!コネで主演張ってるふたりじゃんって言ったの!碌に経験積んでないのに主演張れるなんていいわね〜」
🐕「…コネ、ですか」
「そーよ、あたりまえじゃない!」
ふたりは大きなため息をつきそうになるが、ぐっと堪える。
ただでさえ連日の練習と仕事で疲れているのに、それに加えて嫌味を言われ、ふたりの疲れ度はマックスに達そうとしていた…
「ノノハたちのほうが何倍も努力してんのに!!」
が、そんなことなどいざ知らず。
ノノハはキーキーと声を荒げ、こどものようにわめいている。
流石に静観できなくなったのか、これに乗じようと思ったのか。
端役の者たちがノノハを宥める声が聞こえてきて、ノノハを囲み出した。
端役の者以外の共演者は、嫌そうな顔で現場から楽屋へと戻っていった。
集まってきた共演者全員に「コネで主演をしているアイドル」という目で見られている気がして、その集まりに乗じて現場から抜け出した。
💍「…はぁ。災難だったね、お互い」
🐕「そう…だね。」
アイドルが主演をやったり重要な役どころになる際に、コネだなんだと悪口を言われてしまうのはこの世界の宿命なのかもしれないが、誰にとってもこの宿命は負担でしかない。
…もちろん、本当にコネだった場合を除くが。
🔖「お疲れ様です」
外の空気を吸っていたふたりの前に、怖い顔をしたミアが現れた。
💍🐕「お疲れ様です…?」
ふたりは同じ顔をして首を傾げ、ミアを見つめる。
🔖「おふたりともお忘れになったんですか?この後の予定が空いたので、おふたりの撮影に同行しますと連絡をしたはずですが」
💍「…あっ!そうでした、ごめんなさい」
🐕「すみません」
🔖「…構いませんけど。それより現場の空気酷いですね。この空気では仕事にならないとのことで、監督の判断により今日は解散になりました。ですから事務所に戻りましょう。」
ミアが淡々と伝えると、ふたりは目を見開き、表情を緩めた。
正直彼女たちには、この後演技ができるほどの余裕がなかったのである。
💍🐕「わかりました」
事務所の車が停めてある場所まで行くのには現場を通る必要があり、ミアがふたりがなるべく目立たないように先へと促す。
ふたりの姿が現場からなくなったところで、後をついていこうとしたミアが集団に見つかった。
「あっ、あのふたりのグループのマネージャーだわ。きっと彼女も関わってるわよ」
「だろ〜よ。あの人なんかそういう取引でもしたのかね〜」
好き勝手悪口を言う端役の者たちは、ニヤニヤとした笑みをミアに向けた。
ミアはそんな彼らに鋭い視線を向けると、息を大きく吸い込んだ。
🔖「私のことはどう思おうと構いませんが、担当アイドルを貶す行為はお辞めください。…お言葉ですが、そういった悪口を言うと現場の空気が壊れるというのを知らないんですか?さきほどから監督も苛立っておられますよ。」
ミアはそう言うと、スタスタと現場を出ていった。
🔖「おふたりとも、お待たせいたしました」
その後、楽屋で待っていたふたりと合流したミアは、何事もなかったようにふたりとともに事務所へと向かった。
____ミアが去った後すぐに監督の怒号が響き、ふたりの悪口を言い空気を悪くしたノノハと端役たちは降板を言い渡され、後日別の人が来ることに決まった。
普段穏やかな監督から放たれた怒号は、それはそれは、恐ろしいものであったという。
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